【子育てパパへおすすめ本】『イクメンの罠』で父親の担う役割を学ぶ

赤ちゃんを抱っこするパパ 書籍感想

おはようございます。

印象的なタイトルで、興味を引かれた本です。
タイトルからの想像では、「イクメン」ともてはやされている若い父親を少し斜めから皮肉を交えた内容かと思って手に取った本でした。
しかし、読んでみると、今まで持っていなかった新しい「父親」としての考えを注入してくれた、非常に読み応えのある内容でした。
まとめでも申し上げますが、ぜひ若い父親のみなさんに読んでいただきたい本だと感じました。

本日は、『イクメンの罠』という書籍の感想記事です。

本書を読み、イクメンと父親の違いを知り、父親のあるべき姿を考えましょう。

『イクメンの罠』

記事の内容は、以下の通りです。

  1. イクメン誕生のエピソード
  2. 臨床心理学における父親の役割とは
  3. 3 歳すぎたら、父親になろう

それぞれの内容についてみていきます。

イクメン誕生のエピソード

「イクメン」という言葉もすっかり世間に浸透している印象です。
この言葉自体は、2010 年に長妻昭大臣(当時)が「イクメンという言葉を流行らせたい」と国会で発言したことから始まります。
そして同年には厚生労働省が「イクメンプロジェクト」を発足させ、その年の新語・流行語大賞も受賞したことで、一気に世間に浸透しました。

厚生労働省HPによると、イクメンは、「子育てを楽しみ、自分自身も成長する男のこと」がコンセプトであるようです。

本書では、まずこのコンセプトに疑問を投げかけています。
子育ては楽しいか?という問いです。

確かに、楽しい面もあります。
子供の成長を感じることは親としてこの上ない喜びです。
疲れた時でも、その笑顔で「また頑張ろう」と感じさせてくれる天使のような存在です。

しかし、子育ては悩み、イライラし、身体的・精神的にも苦しみを伴う面もあると思います。
「育児うつ」という現象もあるくらいです。決して楽しいことばかりではありません。

それを、一様に「イクメン」という言葉で持ち上げ、子育ては楽しむものという固定概念を植え付けかねない表現だとのことです。

その他にも、イクメンに対する疑問点として、
・2022 年から開始された、男性の育休取得義務化に向けた改正に対する疑問。
・父親が育児に参加できない家庭がある、ということを見過ごされていることに対する疑問。
・イクメン推進=家庭内で同じ役割を夫婦が分担し合う、という方向を推奨する動きに対する疑問。
これらが挙げられていました。

いずれも興味深い指摘であり、私にとっては納得のいく導入部分でした。

臨床心理学における父親の役割とは

本文中では、父親の役割は下記のように説明されています。
これは、臨床心理学の世界における表現とのことです。

『心理的一体感の中で溺れがちな母子に距離を取らせ、子どもの自立に向けて社会性を注入し、心を鍛えていく機能が期待される役割』

本文中より

また、ユング心理学においては
・母性:包みこむ
・父性:切断する
という原理があるようです。

そして、現代の父親たちがこの役割を十分に果たせているか、という点を著者は指摘していました。

また、著者らが 1987 年・2016 年に実施した母子へのアンケートの結果では、
・母→父
・子→父
いずれも肯定的なイメージ(尊敬している、とか頼もしいなど)を抱く割合が低下しているようです。

私なりに要約すると
・母性・父性の果たすべき役割は異なるはず(包みこむ・切断する)なのに、母性を発揮する人が家庭内にいつまでも 2 人(≒イクメン)存在していることは違和感がある。
・包容力を持った父親が、必ずしも肯定的なイメージにつながるかどうか、は疑問がある。
ということと理解しました。

※ちなみに、母性・父性は、性別で分けられるものではなく、誰しも性別に関係なく発揮可能なものです。
「男だから」「女だから」という観点はありません。

私は、まず母性・父性についてのこのような考えがあるということを知りませんでした。
父性は「切断」と表記しましたが、言い換えれば自立を促す役割を担う、ということでもあります。
父性を発揮する親(多くは父親)がこのことをしっかり認識する必要があると思いました。

確かに、著者の指摘の通り、いつまでも優しいイクメンでは、母子の距離を取らせ、子を自立に向けるという点では苦労しそうですね。
わが子といっても、溺愛してなんでも許していてはいけないのでしょう。

3 歳すぎたら、父親になろう

3歳になれば、翌年度から子どもは年少クラスへ入園します。
幼稚園・保育園で初めて集団生活のルールを学び、少しずつ社会性を身に着けていきます。
そのタイミングで、本書ではイクメンからの脱却を推奨しています。

本文中の記述には、親の役割として以下の記述がありました。
『親は子を社会人としてこうあるべきだと鍛える(導く)必要がある。
まだ社会性を身に着けていない子どもには、自由 < ルールを教えることが必要。』

親として社会のルールを教える、叱るときは叱るということだと思います。
そういう親にならなければいけません。
夫婦そろって優しく保護的に接していては、本人のためにならないということです。
この点は容易に想像できます。
また、タイミングとしても、年少クラス入園に合わせることは、わかりやすくていいと思いました。

また、父親として子供を導くためのヒントが挙げられていました。
一部を紹介します。
・あいさつやお礼をきちんということ。社会の決まりごとを示す。
・望めばなんでも叶うという甘い境遇に置かないこと。
・人に迷惑をかけたときは毅然とした態度で叱ること。本気で叱る。笑顔は見せない。など…
ここにすべてを挙げることはできませんが、どれも参考になるものばかりでした。

ただし、3 歳になったからといって、いきなりスパッと態度を切り替えるのはあまりよくないのかもしれません。
信頼関係の土台ができていないと、ただただ厳しい親になってしまいかねません。
それまでに身体を使ってたくさん一緒に遊ぶなど、日常的に気持ちの触れ合いを持つことが必要です。

まとめ

我が家は下の子が 2 歳ですので、内容としてはまさにオンタイムの本でした。
もちろん、上の子に接する姿勢についても参考になる箇所が多く、学びの多い書籍でした。

本書を読み、私自身の子供に対する言動を省みる機会となりました。
こういう書籍がないと、忙しい毎日に自身の子育てを振り返る機会などありませんから、そういう意味でも本書はとてもためになるものでした。

結局、自分はどういう父親として子どもを導けるのか、考えて動くことが必要です。
本書で示されている内容も、絶対的な正解ではないと思います。
読書から得た知識や考えを鵜吞みにせず、きちんと自分で咀嚼して消化してから栄養にしたいですね。

本書は、現在子育て中の方、これから親になる方、父親としてどうあるべきか悩みを持つ方にとって参考となる本だと思います。
一読をおすすめします。

ぜひ手に取ってみてください。

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