おはようございます。
本日は、良好な人間関係を構築するうえで、参考になると感じた書籍を紹介します。
印象的なタイトルと緑色の表紙が目を引く本書ですが、それだけではなく、内容もかなりインパクトがありました。個人的には、人間関係をテーマとした書籍では、岸見一郎さん・古賀史健さん著書のアドラー心理学をもとにした『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』を読んだ以来の納得感がありました。
本書の出版は 15 年以上前になりますが、その内容は Google や Apple、Microsoft など世界の名だたるトップ企業が研修に採用したほどのものです。本書を読み、自分自身の「考え方」だけでも世界基準に引き上げましょう。
本日は、書籍『自分の小さな「箱」から脱出する方法』(著者:アービンジャー・インスティチュート)の要約・感想記事です。
箱とは?自分を裏切るとは?学んでみましょう
『自分の小さな「箱」から脱出する方法』
記事の内容は、以下の通りです。
- 本書の概要と著者について紹介
- 「箱」という名の自己欺瞞
- 人はいつ「箱」に入ってしまうのか
それぞれの内容についてみていきます。
本書の概要と著者について紹介
本書の概要です。本書は 2006 年に大和書房より出版されました。
世界150万部の不朽の名作!
Amazon 商品紹介ページ(https://www.amazon.co.jp/dp/4479791779)より引用
テレビ東京「モーニングサテライト」の「リーダーの栞」にて紹介されて大反響!
Google、Apple、Microsoft など、数々の有名企業が研修に採用!
ラグビー日本代表、五郎丸選手も推薦!
身の周りの人間関係はすべて自分が原因で引き起こしている。
それこそが、本書のいう「箱に入っている状態」である。
「どうして彼は問題ばかり起こすのか?」
「なぜパートナーは勝手なことばかり言いだすのか?」
こうした問題を、私たちは「相手の問題」と考えがちだが、本当の問題は「自分」にある。
読み進めるうちに、家庭や職場での人間関係を深め、十分な成果を出す環境を作る方法を学べる。
世界的ベストセラーであり、日本でも25万人が読んで大反響を巻き起こした名著。
続編は、よりビジネスに特化した『管理しない会社がうまくいくワケ~自分の小さな「箱」から脱出する方法 ビジネス篇』として、2017年に刊行されている。
著者はアービンジャー・インスティチュートという組織です。この組織は 1979 年にアメリカで設立されました。業種は経営コンサルタントに分類されます。日本を含む世界 25 カ国に支部を持ち、世界のリーディング企業や個人に対してトレーニングやコンサルティング、コーチングなどを提供している国際研究機関です。
アービンジャー・インスティチュートは、本書をはじめとしてこれまでに 5 冊の書籍を出版しています。いずれの書籍もタイトルに「箱」という名称が使われています。この「箱」とは自己欺瞞(ぎまん)のことを指しており、本書では、この自己欺瞞が会社や組織にどのような悪影響を及ぼすかについてストーリー仕立てで解説されています。
本書の主人公は、舞台となる会社に引き抜きでやってきた、とある管理職の人物です。ある日、この人物は会社役員から呼び出され、面談を受けます。その面談を通して主人公は「箱」の存在を知り、それが人間関係に及ぼす様々な影響を学んでいきます。
堅いビジネス本ではないので、読みやすいですよ!
「箱」という名の自己欺瞞
本書のキーワードである「箱」とは、アメリカの哲学者テリー・ウォーナーが提唱した「人が自己欺瞞を行っている状態」のたとえです。「欺瞞」とはあざむくことやだますことなので、自己欺瞞とは自分で自分(の心)をだますことを意味します。人間関係を構築するうえで、その人自身が作り出している見えないフィルターやバリヤーのことだと理解しました。
そして、「箱」に入った状態とは、そのフィルターを通して、自分自身を正当化し、他人や世界を歪んだ視点で捉えてしまう状態を指します。本書では「箱」の説明として、公共の乗り物での座席をめぐるシーンが紹介されていました。
”あなたは二人掛けの座席に座っています。いくつかの手荷物を持っており、あなたはそれらを隣の座席に置き、本を読みながら過ごしていました。しばらくしたあと、あなたは他の乗客が座席を探していることに気がつきます。ほかの席はそこそこ埋まっており、その人が腰かけるためには、あなたが隣の席に置いた荷物を移動させる必要があります。”
…というシーン。この時に、あなたは座席を探している人をどのように見るでしょうか。本書によると、それはあなたが「箱」の中にいるのか、外にいるのかで異なります。
「箱」の中にいるときは、この人は他の人の「座りたい」というニーズを無視して過ごしています。この人にとって、ほかの人はいわばモノ。そういう歪んだ視点で相手を見ている状態です。最終的に荷物をどかして、席を空けたとしても、そのときの態度や表情を通して、こちらの感情は相手に伝わります。相手はどのような気持ちになるでしょうか。
一方、「箱」の外に出ている状態では、その人のことを「座りたい」というニーズをもった自分と同じ一人の人間として見ています。もしそのような視点で相手を見ることができれば、席を空けるときの態度や表情は、「箱」の中にいるときとは異なるはずです。席を空けてもらった相手も、いやな気持にはならないでしょう。
上記はあくまで例えです。しかし日常でよく遭遇する場面だと思いますし、この時に私たちが抱く感情を、「箱」という表現を通してうまく言語化してあるなと感じました。
本書では、『人は「自分をあるがままとして見てもらえる」と感じると、持っているもの以上のパフォーマンスを発揮し、仕事であればより懸命に働くという事実がある。そして、多くの人がこれを知らない。』として、私たちが行動する際には、「箱」の中にいるかそれとも外にいるかが重要になることを説いています。
たとえ相手にとってハードな態度をとるにしても、自分が「箱」の中にいるか、外にいるか。あなたが「箱」の外にいると、相手のやる気を引き出し、ビジネスの生産性を高めることができます。反対に「箱」の中にいると、相手の反抗を引き出し、生産性は低下します。
どちらも行動は同じです。違うのは、その時の態度だけです。
なんとなく「箱」のイメージをつかめたでしょうか?
人はどのようにして「箱」に入るのか
人は「箱」の中にいるか外にいるかで、同じ行動でも他者へ与える影響がかわります。では、人はいつ・どんなときに「箱」の中へ入ってしまうのでしょうか。
それは、自分が「こうすべきだと思った自分自身」を裏切った時です。本書では、これを「自分への裏切り」として紹介していました。この「自分への裏切り」は、「箱」という概念を理解するために重要な行為であり、本書のハイライトだと感じましたので、本文中の説明をそのまま引用します。
「自分への裏切り」とは
本文中より引用
- 自分が他の人のためにすべきだと感じたことに背く行動のこと。
- いったん自分の感情に背くと、周りの世界を、自分の裏切りを正当化する視点から見るようになる。
- 周りの世界を自分を正当化する視点から見るようになると、現実を見る目がゆがめられる。
- したがって、人は自分の感情に背いたときに、箱に入る。
- ときが経つにつれ、いくつかの箱を自分の性格と見なすようになり、それを持ち歩くことになる。
- 自分が箱の中にいることによって、他の人たちをも箱の中に入れてしまう。
- 箱の中にいると、互いに相手を手ひどく扱い、互いに自分を正当化する。共謀して、互いに箱の中にいる口実を与えあう。
本書ではこの「自分への裏切り」への理解を深めるために、「夜中に泣いている赤ちゃんと妻との関係」や「門限を守らない息子との関係」という具体例を通して説明されていました。ここでは前者について紹介したいと思います。
夜中、あなたは赤ちゃんが泣いていることに気がつきました。しかし、妻は起きる様子はありません。この時、あなたの頭には、「赤ちゃんをあやさなければ」という考えが浮かびます。ここでその考えを尊重し、行動をとれば何も問題はありません。しかし、その感情に背いたときに、あなたは自分自身を裏切り、「箱」に入ります。
まず、あなたは「赤ちゃんをあやさない自分自身」をどのように見はじめるでしょうか。睡眠を妨げられている被害者、睡眠不足にも関わらず仕事をこなしている勤勉でまじめな男、子どものために起きようと考えているよき夫…このように、どんどんと自分自身を正当化していきます。
次に、「寝ている妻」をどのように見はじめるでしょうか。赤ちゃんが泣いているのに起きようとしない怠け者、人を思いやる気持ちを持たない非道な人間、ひどい母親…こんな風に考えたこと、子育て経験のある方であれば、一度はあるのではないでしょうか(私もあります、スミマセン)。
このように、「子供のために起きなければ」という自分が抱いた感情に背いたとたん、妻のことを実際以上に悪い人間だと見なしてしまいます。
人間は自分の感情に背いたときに「箱」に入り、自己欺瞞を行います。これにより、
- 他人の欠点を大げさにあつらう
- 自分の長所を過大に評価する
- 自己欺瞞を正当化する
- 相手に非があると考える
というような、歪んだ視点をもつようになってしまいます。
こんなこと、だれも望んでいないはず。でも、きっかけは「自分への裏切り」を始めた、自分自身なのです。
この理論に触れた時は、なるほどと思ったと同時に大変驚きました!原因は自分にあります!
まとめ
世界に対して歪んだ視点を生み出す「箱」。この中に入ってしまうきっかけは、自分自身を裏切るという行為です。自分に正直に生きろということでしょうか。
本日は、書籍『自分の小さな「箱」から脱出する方法』より、
- 書籍の概要および著者について紹介。著者は個人ではなく、世界各国に支部を持つ経営コンサルタント組織。
- 本書では、自己欺瞞を「箱」として表現している。人は「箱」に入っていると現実を見る目が歪んでしまう。
- 人は自分への裏切りをきっかけとして「箱」に入る。「箱」に入ると、自己欺瞞を正当化し、相手に非があると考えてしまう。
上記 3 点について、私なりに要約・感想を記しました。
本書には「箱」や「自分への裏切り」など、インパクトのある考え方が多く出てきます。いずれも人間関係を円滑に進める上で役に立つと感じましたし、後半では「箱」から出るためにはどうすればよいかという解説も記されていました。
本書から得られる学びは、仕事面のみでなくプライベート面でも必ず役に立つものだと思います。Google、Apple、Microsoft など、数々の有名企業が研修に採用したというのも納得ですね。
ぜひ手に取ってみてください
【人間関係に悩む方へオススメ書籍】
『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』
冒頭でも紹介した、アドラー心理学に基づく対人関係の考え方を学べます。
「課題の分離」「承認欲求を捨てよ」は、人生を変えてしまうほどのインパクトがある考え方です!
未読の方はぜひ読んでみてください
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