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おはようございます。
「健康面が気になるから、そろそろお酒やめようかな」
「お酒で失敗しないために、きちんとお酒について知りたい」
みなさんは、このように禁酒について考えたり、あるいはお酒についてふと疑問に感じることはないでしょうか。
そのような方にとっては、本書から学べる内容が参考になるかもしれません。
なぜなら、本書にはお酒による害をゼロにすることを目的とし、禁酒の方法論からアルコールが心身におよぼす様々な影響についてまで、わかりやすくまとめてあるからです。
本記事には、書籍の内容を中心に
- 変わりつつあるお酒との関係
- お酒が心身へおよぼす影響
- お酒との付き合い方を考えてみる
上記 3 点について、私なりの要約・感想を記してあります。
本記事を読み終えるころには、お酒に対する印象や考え方がガラッと変わると思います。また、紹介する書籍にも興味を持っていただけると嬉しいです。
よく聞く「お酒は百薬の長」は誤りで、ノーリスクの飲酒はありません。どういうことか、その中身を見ていきましょう。
本日は、書籍『「そろそろ、お酒やめようかな」と思ったときに読む本』(著者:垣渕洋一さん)の要約・感想記事です。
本書を読み、飲酒に対して考え直してみましょう
『「そろそろ、お酒やめようかな」と思ったときに読む本』
お酒との関係は変わりつつある
シラフが世界的なトレンドになっている
今、世界中の Z 世代を中心に「ソーバーキュリアス」というライフスタイルがトレンドになっています。
これは「あえてお酒を飲まない」、いわゆるシラフの生活を指しています。
そして本書によると、この考え方は海外だけでなく日本でも徐々に浸透しつつあるようです。
もはや飲酒する人の方が少数派
昭和から平成にかけては「お酒に強いこと」はどちらかというと賞賛される風潮があったのではないでしょうか。
いま中高年の方の中には「お酒を飲むことが仕事だった」という経験をお持ちの方がみえると思います。
「接待で毎日飲みまくってた」
「若い頃はムチャな飲み方をしてた」
仕事をしていると、その年代の患者さんからはそのような武勇伝を聞くことも少なくありません。
しかし時代は変わり、現代では「お酒を飲まないこと」が世界的なトレンドになっています。
2018 年の国民健康・栄養調査報告によると、「お酒を飲まない(飲めない)」あるいは「ほとんど飲まない」と回答した人は 50% を超えています。
2018 年というと今から 6 年前です。もはやその時点で、お酒を飲む人の方が少数派になっていたようですね。
ノンアルコール市場の拡大
上記のような世界的トレンドもあり、ノンアルコール飲料の市場は右肩上がりで拡大しています。
今やノンアルコール飲料も日常生活にすっかり定着した印象があります。
それを示すデータとして、サントリーの調査によると、2022 年のノンアルコール飲料市場(おそらく出荷量)は 4,084 万ケース(1ケース=350ml×24本)であり、これは 10 年前の約 1.4 倍の規模になっています。
さらに、近年の健康志向やソーバーキュリアスの考え方を追い風として、今後もノンアルコール飲料市場は、ますます拡大することが見込まれています。
これは下戸(まったくお酒が飲めない)の人たちだけでなく、禁酒を目指す人にとっても良い環境の変化になりそうです。
シラフでも幸せに
このように、時代とともにお酒と日本人の関係は変わってきており、様々な理由からアルコールを口にしないという選択をする人が増えています。
このようにみてみると、お酒がない生活を選ぶことは、ごく普通の考え方になる、あるいはもうすでになっているのではないでしょうか。
ノンアルコール飲料は日々進化してますよね。もはや飲みごたえはアルコールと同等だと感じてます。
お酒が身体へ及ぼす影響
ここからは、アルコールが身体へ及ぼす影響を見ていきます。
結論を先に申し上げると、適量のお酒は精神的に多少のメリットがありますが、身体的には一つもなく、明確な健康障害のリスクです。
飲んだアルコールは体内でどうなるか
体内に入ったアルコールは胃と腸で吸収され、その大部分は肝臓で処理されます。
そして、肝臓に到達したアルコールは、まず酵素の力によってアセトアルデヒドに分解されます。
このアセトアルデヒドは有害物質であり、各臓器への毒性を持っています。
次に、アセトアルデヒドはさらに別の酵素によって人体に無害な酢酸へと分解されます。
そして酢酸は血液により全身へめぐり、各臓器で水と二酸化炭素に分解され、最終的に汗や尿、あるいは呼気中に含まれて体外へ排出されていきます。
脳への影響
アルコールは臓器のなかでも特に脳に強く作用し、ドーパミンの分泌を促します。
ドーパミンは脳の報酬系をコントロールする物質の代表格であり、これによって飲酒時の爽快感がもたらされます。
また、多幸感をもたらすセロトニンや、鎮静・鎮痛作用のあるオピオイドなどもアルコール摂取によって分泌されます。
これらの物質の作用により、私たちの脳は「お酒はいいものだ」と感じてしまうようです。
しかし、アルコール摂取が習慣となるとやがて耐性ができてしまい、少量では物足りなさを感じるようになります。
そして多飲、やがてアルコール依存症へと繋がってしまいます。
「お酒は百薬の長」は酒税のためのキャッチフレーズ
「お酒は百薬の長」は、適度な酒はどんな薬にも勝る効果があるという意味で、その語源は古代の中国にあります。
中国古代の史書『漢書』によると、この言葉は漢を破った新王朝時代の皇帝である王莽(おうもう)が、お酒を国の専売制にし、酒税を得るために言い放った一節であるとされています。
しかし、この発言に至った理由は語られておらず、さらにこれを支持する医学的な根拠も不明です。
それにも関わらず、この言葉だけは時代を超えて語り継がれているのですから、王莽は稀代のコピーライターと言えそうです。
飲酒には健康リスクが伴う
しかし、精神的な作用はともかく、飲酒による身体的なメリットは一つもありません。
近年では世界で最も権威のある医学雑誌の一つである Lancet に、それを示すデータが掲載され話題を呼びました。
適量の飲酒量はなく、飲酒には健康を害するリスクが必ず伴うということを、私たちは改めて認識した方がよさそうです。
アルコールは心身をむしばむ薬品
アルコールは依存性や他者への有害さがとても高く、もはや嗜好品ではなく立派な「薬品」といえます。
世の中で使用されている薬品には、人体への有害さを示す係数があり、本書によるとアルコールの数値は 4 です。これは「安全とは言えない薬品」という判定になります。
つまり、「販売されている飲料用アルコールは合法だから、安全で安心」という解釈は誤りです。その依存性は違法薬物と同等あるいはそれ以上に高いものと認識し、適切に付き合いましょう。
アルコールは薬品!インパクト大の表現ですね
お酒との付き合い方を考えてみる
ここまでの内容で、シラフでも幸せという価値観が広まっていること、アルコールが心身に及ぼす影響を紹介してきました。
ここからは、本書の内容をふまえ、今後のお酒との付き合い方を考えてみたいと思います。
「ノーリスクの飲酒はない」と認識する
ここまで述べたように、飲酒には多少のメリットがあるものの、多くの場合デメリットが上回ります。
つまり、ノーリスクの飲酒はないということです(2 回目)。
しかし、過去に行われたある疫学研究では、ワインを飲むことが長寿と関係している可能性が示されています。
ですが、この関係性の裏には対象者の食生活全般や豊かな人間関係など、寿命に影響するとされる様々な要因が潜んでいると考えられており、「ワイン = 長寿」という単純なものではないようです。
つまり、身体的にノーリスクの飲酒はありません!(大事なことなので 3 回目)
このことをしっかりと肝に銘じておきましょう。
飲み方は「機会飲酒」までにとどめる
とはいっても、今後お酒を飲むことは誰にでもあると思います。お酒を飲む方にとっては、お酒と全く縁のない人生というのも味気ないものです。
そこで、今後お酒を飲むときには、イベントがあるときだけ飲酒する「機会飲酒」に留めることが良いのではないかと思います。
まさか毎日飲み会があるという人は少ないでしょうから、イベントの頻度が低ければ、健康面を踏まえたお酒との付き合い方は、この姿勢で OK です。
晩酌=アルコール依存症の予備軍!
お酒の飲み方を表す言葉は 3 種類あり、それぞれ以下のような定義となります。
- 機会飲酒:イベントがあるときだけ飲酒する
- 習慣飲酒:イベントがなくても定期的に飲酒する
- 晩酌:夕食の際に習慣的に飲酒する
そして本書によると、これらのうち 2 と 3 は「アルコール依存症」の予備軍とされています。
もしご自身のお酒の飲み方が 2 あるいは 3 に該当する場合は、1 の機会飲酒までにとどめることをオススメします。
減酒・断酒のしくみを作ろう
減酒あるいは禁酒(断酒)を目指す場合は、それにむけた仕組み作りに注力しましょう。
病気の発症や人間関係の失敗、あるいは金銭面の問題など、お酒を減らす・断つと決めるきっかけは人によって様々です。
そして、減酒あるいは禁酒すると決意し、いざ実行するときに、ただただ一人で我慢して精神論だけでお酒を飲まないようにする方法だけでは、なかなかうまく行かないこともあります。
しかし、心配は無用です。
というのも、本書によると、禁酒は「続けられる仕組み」さえ作ることができれば難しくないのです。
減酒と禁酒は連続している
まずは、減酒と禁酒は連続していることをしっかり認識しておきましょう。
飲酒量をいきなり 0 にしなくても、徐々に減らして最終的に 0 になればそれで OK です。
見える化と宣言は効果大
禁酒を継続するためには、その経過を見える化すること、周囲に宣言することが効果的です。
習慣の継続を見える化したものを習慣トラッカーといいます。
習慣トラッカーの例として、目標が達成できたらカレンダーの日付を消していく、あるいはチェックリストを埋めていくなどの行為があります。
これらは成果を可視化できるため継続率を高める効果があります。
また、目標に向き合うことを毎日繰り返し、「なりたい自分」に一歩ずつ近づいている証にもなるため、自己肯定感も高まります。
見える化に加えて、周囲に宣言することも禁酒の成功率を高めるよい方法です。自分で宣言することで、やらざるを得ない状況を作ります。
もし禁酒を目指すのであれば、友人や家族、会社の同僚にその意志を表明しましょう。きっと協力してくれますよ。
減酒を支援する薬もある
日本国内には減酒を支援する薬が数種類あります。
適応となる人は、依存症一歩手前の人や依存症状が軽度の方から、症状が重度の方まで様々です。
なお、薬を手に入れるためには医師の処方が必要です。また、めまいや吐き気などの副作用もあるようですが、保険が適応されます。
多くの場合、禁酒において薬物療法が第一選択ではないとおもいますが、このような手段があることは知っておいてもよいでしょう。
断酒のカギは価値観の転換
もしアルコールとの付き合いで悩む方は、まずは上記のような方法で飲酒量をコントロールしてみましょう。
しかし、そもそもお酒を断つことは「シラフの方が幸せである」という価値観の転換を成し遂げて、これからの人生をお酒を飲まずに生きることです。
これは、飲酒が習慣になっている人にとってはものすごくパワーが必要なことです。
禁酒に取り組むときは、一人で頑張りすぎず、周囲の人や自助グループの力を借りながら目標を達成できるようにしましょう。
「お酒やめようかな…」と思っている方は、今が行動を始めるときです。
価値観の大転換を成し遂げましょう
まとめ
お酒は明確な健康障害のリスクであり、身体的には飲まないに越したことはありません。シラフでも人生を謳歌することは、きっとできます。
本日は書籍『「そろそろ、お酒やめようかな」と思ったときに読む本』より、
- 変わりつつあるお酒との関係について紹介。ソーバーキュリアスというトレンドやノンアルコール市場の拡大により、下戸や禁酒を目指す人にとっては追い風の環境が整っている。
- お酒が心身におよぼす影響について紹介。お酒は、適量であれば精神面で多少のメリットがあるが、身体面では全くない。
- お酒との付き合い方について紹介。飲むなら機会飲酒までにとどめる。禁酒を目指す場合は、しくみ作りに注力を。
上記 3 点について、私なりに要約・感想を記しました。
いかがでしたか?
本記事の内容が、改めてお酒との付き合い方を考えるきっかけになれば幸いです。
本書を読み学んだことは、お酒には身体的なメリットは一つもなく、明確な健康障害のリスクであることが改めて分かった点です。
私のお酒の飲み方は機会飲酒で、その頻度も月に 1 回あるかないかという程度です。
幸い「もっとたくさん飲みたい!」という願望はなく、最近はむしろ「睡眠の質が落ちるから、あんまり飲まなくてもいいや」という境地に至っています。
もう若者ではないので、これからお酒で無茶をする気はありませんが、「酒は飲んでも飲まれるな」を肝に銘じ、脳がドーパミンとセロトニンをほどよく分泌する程度の飲酒を楽しみたいと思います。
また、私のように健康指導をする立場にある方にとっては、お酒との望ましい付き合い方や健康上のデメリットなど、お仕事に役立つ知識も学べます。
特に理学療法士は患者さんへの生活習慣指導も重要な業務ですので、インターネットで断片的な知識を得るだけでなく、本書のような書籍で飲酒の影響を体系的に学んでみてはいかがでしょうか。
本書には記事で紹介した内容のほかにも、禁酒のための具体的なステップ、お酒をやめることによって得られるもの、アルコール依存症についての解説などがわかりやすく解説されています。
まさに「そろそろお酒やめようかな…」と考えている人にとっては、力強く背中を押してくれる書籍だと思います。
もうアルコールなしでもいいかな、と思わせてくれる書籍でした。
ぜひ手に取ってみてください!
【お酒をやめたら読んでほしい書籍の紹介】
『スタンフォード式 最高の睡眠』
禁酒をして真っ先に変わるのは、睡眠の質なのだそうです。禁酒+本書から得られる知識で、最高の睡眠を手に入れましょう!
『脳を鍛えるには運動しかない!』
禁酒をすると、時間の使い方も変わります。空いた時間で運動できれば最高ですね。
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