日本人の知らない内容ばかり『中国共産党 暗黒の百年史』

中国国旗 書籍感想

おはようございます。

去る 2021 年は、中国共産党の結成 100 周年の年だったようです。

本書は中国生まれの評論家である石平(せきへい)さんが、「1 年かけて書き下ろした衝撃作」です。非常に読み応えのある書籍でした。

その内容はいわゆる教科書とは一線を画したものであり、私も少なからず衝撃を受けました。印象に残った内容を、記事としてまとめたいと思います。

本日は、書籍『中国共産党 暗黒の百年史』(著者:石平さん)の書評・感想記事です。

本書を読み、中国共産党について知ってみましょう

日本人の知らない内容ばかり『中国共産党 暗黒の百年史』

記事の内容は、以下の通りです。

1.中国共産党の歴史
2.二人のキーパーソン 毛沢東氏と周恩来氏
3.現代 習近平氏に開かれた終身体制

それぞれの内容についてみていきます。

中国共産党の歴史

中国共産党は 1921 年にコミンテルンの指揮により結成されたとされています。
結成から現在までの 100 年間には様々な出来事があったのですが、本書ではその初期を占める中国国民党との対立に多くの部分を割いて紹介されていました。

本書によると、中国共産党がここまで生き延びてこられたのはスパイ活動によるものだそうです。

中国共産党は 1927 年に中国国民党と分裂し、それ以降、敵対関係となりました。
当時は国民党(政府)の軍隊による度重なる鎮圧を受け、共産党は十分な抵抗勢力とはなれず、終始劣勢だったようです。

そんな中でも共産党が生き残ることができたのは、一部の党員がスパイとして国民党へ侵入・暗躍し、重大な軍事情報を事前に手に入れることができたからだそうです。

国民党は内戦にて共産党を滅ぼそうと画策するのですが、後三傑(ごさんけつ。周恩来がスカウトしたスパイで、国民党の軍事作戦を共産党へ伝達した)の活躍もあり、共産党は勝利します。

そして、1949 年に中華人民共和国を建国し、中国共産党は政権政党として国を治めるのです。

著者は、中国共産党のスパイ活動について「相手の内部に浸潤していく様子は、ガン細胞と同じだ」と辛口の評価をしています。

ガン細胞…
イメージはしやすいですが表現としては。。。

二人のキーパーソン 毛沢東氏と周恩来氏

毛沢東氏と周恩来氏は党成立から中華人民共和国の建国、その後の政権運営において重要な人物でした。
この 2 人については教科書で学ぶため記憶している方も多いと思います。

・毛沢東氏
1949 年に中華人民共和国の建国を宣言し、1976 年まで中国の最高指導者として絶対的な権威とカリスマ性を持つ独裁指導者として君臨しました。
上記が、私たちが教科書で習った毛沢東氏の人物像です。

それは紛れもない史実であり、本書でも同様に紹介されています。
しかしその「絶対的な権威」は、武力と「大躍進政策」に象徴される粛清による恐怖政治によって支えられていたもののようです。
本書には、毛沢東氏が自国民に対して行った残虐な粛清の様子が詳細に記述されていました。

また、毛沢東氏については無類の女好きという点も紹介されていました。

毛沢東氏は計 4 回結婚しています。初めの 3 回の結婚は、妻が病死したり、殺されたり、精神病になって離婚したということになっています。
そして 4 回目の結婚相手は、女優だった江青氏です。

その他にも、多くの資料から毛沢東氏のそっち方面での記録は多く残っています。
まさに「英雄色を好む(傑出した男は、きまって女好き)」です。そして毛沢東氏自身も、それを隠さなかったようです。

・周恩来氏
中華人民共和国の初代首相で、建国された 1949 年以来、1976 年に病死するまで在任しました。
在任中は毛沢東氏に従い続け、最後まで忠誠であり続けたようです。

そんな周恩来氏ですが、本書ではその人物像を「保身が何より大事」だったと紹介しています。
著者によると、周恩来氏は自分よりも立場が上の人(毛沢東氏の妻・江青氏にも)にこびへつらい、自身の立ち位置がおびやかされることのないように常に努めていたようです。

どちらも教科書では学べないですよね。

現代 習近平氏に開かれた終身体制

本書の最終章は、現代の最高指導者である習近平氏についても紹介されていました。

習近平氏は 1953 年に北京で生まれました。
学生の時に文化大革命の影響で学校教育が中断され、徴農制度として 7 年間、地方で肉体労働に従事した時期もあったようです。
その後、1974 年に共産党へ入局し、2012 年から現在まで国の最高指導者となっています。

本書では、この習近平氏については「親の七光り」と紹介していました。
習近平氏の父である故習仲勲氏はかつて政治局委員を務め、副総理や全人代副委員長も歴任したという人物です。
中国での出世において、親の功績がどれほどの影響を及ぼすのかはわかりませんが、本書ではそのような紹介でした。

そんな習近平氏ですが、2018 年の憲法改正により総書記としての任期上限は撤廃され、2022 年から 3 期目に突入しました。
これは本書でも触れられており、「終身皇帝」への道が開かれたとしています。

絶大な権力を握った習近平氏が、今度世界に対してどのような姿勢をみせるのか注視すべきだという主張で本書は結びを迎えていました。

「独裁」と評するメディアもあります。
今後どのようになっていくのでしょうか。

まとめ

中国という国を理解するならば、党に対する認識は不可欠でしょう。
中国とビジネスで取引のある方、その方面の職業の方、歴史について学んでみたい方にはおすすめの書籍です。

本日は、書籍『中国共産党 暗黒の百年史』より、
・1921 年に結成された中国共産党は、結成 100 年を迎えた。

・(本書によると)毛沢東氏は派手な女性関係を楽しみ、周恩来氏は保身に努めた。どちらも教科書では学ばない(学べない)内容。

・2018 年の憲法改正により任期上限は撤廃され、習近平体制は2022 年から 3 期目に突入。終身皇帝の誕生か。

上記 3 点について、私なりに要約・感想を記しました。

私を含む、日本に住む一般市民の多くには、中国共産党の成り立ちは関係のない話だと思います。
本書になにか人生の役に立つ学びがあるかは人それぞれです。個人的には中国共産党に対する新たな知識・視点を持つことができましたが、知的好奇心を満たす書籍でもあったという感想をもちました。

しかし、中国の立ち居振る舞いは今後の国際情勢に大きく影響することも事実です。
お時間のある方は、アジアの大国について学んでみてもいいかもしれません。

ぜひ手に取ってみてください。

【こんな書籍もオススメです】

『禁断の中国史』(著者:百田尚樹さん)
こちらも教科書とは一線を画した内容です。テイストは似ている印象です。

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