おはようございます。
本日も前回に引き続き、書籍『自分の小さな「箱」から脱出する方法』を取り上げます。
前回の記事では、「箱」とは自己欺瞞を行っている状態をたとえたものであること、人は自分自身を裏切ったときに「箱」に入ってしまうことをまとめました。
未読の方は、こちらからどうぞ。
「箱」は、人間関係を構築するうえで、自分自身を正当化し、相手の欠点を大げさにしてしまう「歪んだフィルター」になってしまいます。できることなら「箱」の中ではなく、外側に出た状態で暮らしたいですよね。本書の後半部分ではそのために必要な考え方についてもしっかりと解説されており、いずれも納得の内容でした。ビジネス・プライベートにかかわらず、人間関係で悩んでいる人にとっては、解決のためのヒントが得られる書籍だと思います。
本日は、書籍『自分の小さな「箱」から脱出する方法』(著者:アービンジャー・インスティチュート)の要約・感想記事です。
本書を読み、箱の外側に留まる秘訣を学びましょう。
外へ出よう!『自分の小さな「箱」から脱出する方法』(2)
記事の内容は、以下の通りです。
- 「箱」からどのようにして出るか
- 「箱」の外側にとどまり続けるためには
- 「箱」を知ったうえで生活しよう
それぞれの内容についてみていきます。
「箱」からどのようにして出るか
人は、自分自身を裏切ったときに「箱」へ入ります。では、どのようにしたら「箱」の外側に出ることができるでしょうか。これに対する本書の回答は、『「箱」の外側に出たいと思ったときには、もうすでに出ている』でした。
もう少し解説を加えます。
あなたが「箱」の外側に出たいと思ったときには、あなたはもはや、相手をモノとして扱っていません。相手のことを、自分と同じように、希望やニーズをもった一人の人間として見ていることになります。本書によれば、もうこの時点で、あなたは「箱」から外に出ていることになるのです。つまり、「箱」から外に出るために必要なことは、具体的な行動ではなく、あなた自身の心の持ちようであるといえます。
あなたが「箱」に入った状態では、相手と張り合うことや、相手を変えようとすること、相手とコミュニケーションをとろうとすることは、全て無駄になります。相手の心を開くための小手先のテクニックも意味をなしません。あなたが自分のことを考え続けている限り、「箱」の外には出られず、相手との望ましい関係性を手に入れることはできないのです。
つまり、相手のことを考えて、相手の考えに抵抗することをやめて、相手のニーズや希望を認めること。これができれば、あなたは自分を正当化する必要性はなくなり、そのような考えや感情から解放されます。これが「箱」の外側に出るということのようです。
この「箱」の外側に出ることについては、解説が少し抽象的だと感じました。正直なところ、いまだに十分に理解できたとは言い難いです。しかし、相手に対して抵抗することをやめれば、自分を正当化する必要性がなくなるという説明は、読んでいて納得でした。
自分が「箱」に入っている(いた)と認識することが、外に出るための第一歩なのかなと思いました
「箱」の外側にとどまり続けるためには
「箱」の外に出ることができたら、その次に必要なことは、外にとどまり続けることです。そのためには、外にいるときに「自分への裏切り」をしないことが求められます。普段の生活のなかで他者に対して「やるべきだ」と感じたことに背かずに、その時の気持ちを尊重しましょう。
しかし、このように書くと、「やるべきだ」と感じたすべてのことを実行しないといけないように思われるかもしれません。特に、接する機会の多い家族や友人には大きな義務感を感じると思います。しかし、本書によれば、そのように感じたことを、必ずしも全てこなす必要はありません。社会で生活する以上、それぞれ誰しもにしなければならない責務がありますし、忙しくて手を貸せない時もあるでしょう。大切なことは、やれる / やれないのラインをしっかりと引き、あなたがやれる精一杯をすることです。
上記のように、家族や友人などのプライベートな関係の相手に対しては、可能な範囲で「箱」の外側にとどまり続けることが望ましいです。一方で、ビジネスにおいては話が変わります。
ビジネスパーソン、特にリーダークラスの方にとっては、「箱」の外側にとどまり続けることが責務となります。リーダーである以上、「箱」の中に入ってはいけないのです。
部下が従いたいと思うリーダーは、ズバリ「箱」の外側にいる人物です。たとえ部下がミスをしたとしても、保身に走るのではなく、「それは監督者である私のミスでもある」と自らの非を認める行為は、「箱」の外側にいるからできることなのです。
よきリーダー、親、友人でありたいのならば、すべきことは「箱」の外にとどまることです。
「箱」を知ったうえで生活しよう
ここまでで、「箱」という自己欺瞞の及ぼす影響を紹介しました。自分が人にどのような影響を及ぼすかは、あるいは成功できるかどうかは、すべて「箱」の外に出ているか否かにかかっています。自分を裏切らず、相手への抵抗をやめたときに「箱」の外に出ることができます。私たちはみな、時には「箱」の中に入ることもありますが、できる限り外へ出ていられるように努力したいところです。
本書の最終章では、この「箱」という概念を知ったうえで、私たちがどう生きるべきかという教訓がまとめてありました。「箱」や「自分への裏切り」と同様に、本書を紹介するうえで外せない部分だと感じましたので、少し長いですが引用したいと思います。
知ったことに即して生きること
本文中より引用
- 完璧であろうと思うな。よりよくなろうと思え。
- すでにそのことを知っている人以外には、箱などの言葉を使うな。自分自身の生活に、この原則を活かせ。
- 他の人々の箱を見つけようとするのではなく、自分の箱を探せ。
- 箱の中に入っていると他人を責めるな。自分自身が外に留まるようにしろ。
- 中にいることが分かっても、あきらめるな。努力を続けろ。
- 中にいたことを否定するな。謝ったうえで、さらに前へ進め。これから先、もっと人の役に立つように努力しろ。
- 他の人の間違いに注目するのではなく、どのような正しいことをすれば、その人に手を貸せるかをよく考えろ。
- 他の人々が手を貸してくれるかを気に病むのはやめろ。自分の力を人に貸せているかどうかに気をつけろ。
個人的に印象深いと感じた点は、他の人には「箱」という表現を使わないことと、他の人の「箱」を探してはいけないと示されていることです。「箱」という概念について知った顔をせず、他人を非難せずに自分自身を見つめなさいということです。そして最も重要なのは、私たちは「箱」の存在を知ったうえで、「人の役に立ち、他の人に力を貸せているかどうか」を常に気にとめながら生きていく必要があるということだと理解しました。
結局のところ、人は他者との関わりの中で生きていく生き物です。となると、他者貢献こそ自分の居場所を感じられる唯一の手段であり、それを実行し続けることが、幸せを手に入れるための最大のカギなのかもしれません。
このあたりは、アドラー心理学でも似たような指摘がありました
まとめ
「箱」という概念を自分自身の人生に活かし、箱の外にとどまり続ける努力をしましょう。そして、他者貢献を肝に銘じて生きていきましょう。
本日は、書籍『自分の小さな「箱」から脱出する方法』より、
- 「箱」からどのようにして出るかを紹介。外に出たいと思った時が「箱」から出た瞬間。
- 「箱」の外にとどまり続ける方法を紹介。「自分への裏切り」をしないこと。特にリーダーにとっては必須。
- 「箱」を知ったうえで念頭に置くべきことを紹介。「箱」の外側に出ていて、他者貢献できているか自問自答してみよう。
上記 3 点について、私なりに要約・感想を記しました。
他者との関係を良好に保ち、人生をより良く生きていくために大切なことは、多くの書籍で述べられていると思います。しかし、表現は違えど本質的な点は同じだと感じました。大切なことは、他者貢献をすること、「箱」の外側に出ること…つまり、自分本位ではなく相手の立場に立つことがカギなのでしょう。月並みな表現ですが、本書を含む数冊の人間関係に関する書籍を読み終えた感想です。本書で学んだこととこれまでの読書経験を自分なりに解釈し、自身の生活に取り入れていきたいと思いました。
ぜひ手に取ってみてください
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