おはようございます。
運動が健康にいいことは誰でもわかっていると思います。それはもちろんそうなのですが、運動について、単に「筋肉や体力を鍛えるため」や、「ダイエットのため」という理解だけにとどまっているのはもったいないです。
むしろ近年の研究成果として、運動は脳の状態を最良にする最善の介入方法であることがわかってきました。本書のタイトルにあるように、私たちは「脳を鍛える」ために運動するのです。
その中身について、少し触れてみましょう。
本日は書籍『脳を鍛えるには運動しかない! 最新科学でわかった脳細胞の増やし方』(著者:ジョン・J.レイティーさん)の要約・感想記事です。
本書を読み、運動がどれほど脳に良いか学びましょう
『脳を鍛えるには運動しかない!』
記事の内容は、以下の通りです。
1.運動は脳を最善の状態にする唯一かつ最高の方法
2.動き続けることが人類のデフォルトモード
3.運動がどれほど健康を支えるか
それぞれの内容についてみていきます。
運動は脳を最善の状態にする唯一かつ最高の方法
脳内では億をこえる神経細胞が信号のやりとりをしています。このやりとりの 80% はグルタミン酸やガンマアミノ酸(GABA)などの神経伝達物質が担っており、これらの物質は神経ニューロン活動を興奮 / 抑制する機能をもっています。
そして、この神経伝達物質の活動を調整する役割があるのが、セロトニンやノルアドレナリン、ドーパミンなどのホルモンたちです。
運動はこれらすべての働きを、最適なバランスに整えてくれます。
また、運動は神経細胞の成長を調節する脳由来神経栄養因子(BDNF)とよばれるタンパク質の合成を促進します。研究によっては、 BDNF 合成は運動により 3 倍程度まで増加するとされています。
この BDNF の増加は脳の神経ニューロン回路を構造的・機能的に強化し、新たな神経発生や認知機能改善のメカニズムのひとつと考えられています。
このように、私達は運動によって身体だけでなく、脳をも鍛え育てることが可能なのです。
脳神経を育てるのは知識ではなく運動です
動き続けることが人類のデフォルトモード
著者は本文中において「祖先の日常生活のマネをしよう」と繰り返し主張していました。私たちの祖先は、生き延びるために歩き回り獲物を探す必要がありました。つまり動くことが生存におけるデフォルト状態だったのです。
私たちもそれに倣い、常に動き続けましょう。
著者の主張する「祖先のマネをすること」とは、毎日歩くかゆっくり走り、週 2-3 回は息が上がる程度に走り、時々は全力疾走で獲物を追いかけることです。人類の進歩は定住と農耕によりもたらされましたが、それが始まってから現在までの時間は、人類史においてはまばたき程度の期間でしかありません。つまり、私たちの身体や脳は、まだ Ver 1.0 のまま進歩していません。
動く機会を失い、それが心身の正常な機能を妨げている「現代病」の引き金になっていることを、私たちは改めて認識する必要があります。
動き続けましょう!
運動がどれほど健康を支えるか
運動によってもたらたされる恩恵は、脳の成長以外にもたくさんあります。具体的には、心血管系や免疫系の強化、意欲の向上、代謝の改善など多くのことが挙げられます。それぞれについて、簡潔にふれていきます。
・心血管系の強化
運動により筋肉が収縮すると、血管内皮成長因子や線維芽細胞成長因子が体内に放出されます。これらによって血管内皮細胞が作られ、血管のダメージをいくらか修復してくれます。また、血管内皮細胞から放出される一酸化窒素は、血管を拡張させ血圧低下に寄与します。
・免疫系の強化
運動により、体内のリンパ球が活性化します。また、体内で傷ついた組織を修復する細胞も、運動により活性化します。体内で傷ついた組織が適切に処理されないと、慢性炎症を引き起こす原因となります。そして、あらゆるがんの明らかなリスクファクターは、運動不足です。
・意欲の向上
老化に伴う問題のひとつは、立ち向かうべき目標がなくなることです。意欲の低下は身体活動の低下につながり、老いを加速させてしまいます。また、チャレンジを促すホルモン(ドーパミン)の分泌も加齢によって低下します。運動をするという目標を設定して、向上心とドーパミンの分泌を保ちましょう。私たちは、「忙しく生きていないと、身体は急速に死に向かう」のです。
・代謝の調整
運動は血糖値をコントロールするインスリンの効き具合を最適に保ちます(インスリン抵抗性の改善)。また、カロリーを燃焼し、肥満を防ぎます。その他、食欲を調整するホルモンのバランスも最適に保ちます。
運動の悪影響を探す方が難しいです。あえて言えば「ちょっと疲れる」くらいです。
まとめ
運動によって身体だけでなく脳も鍛えることができます。現代にとらえるべき獲物はいませんが、祖先がしていたように身体を動かしましょう。
本日は、書籍『脳を鍛えるには運動しかない! 最新科学でわかった脳細胞の増やし方』より、
・運動は、脳の状態を最善に保つ最良の方法であること。
・人間は動き回ることがデフォルトで、現代人はまだ Ver 1.0。祖先のように動き回ろう。
・脳だけでなく心血管系や免疫系も強化可能。
上記 3 点について、私なりに要約・感想を記しました。
私は理学療法士という運動に関する専門家のつもりでしたが、本書を読み、運動って脳や体にいいんだなぁと改めて学びなおすことができました。
多くの方に読んでいただきたい書籍です。きっと運動に対するモチベーションが爆上がりしますよ。オススメです。
ぜひ手に取ってみてください。
【こんな書籍もオススメです】
『GO WILD 野生の体を取り戻せ! 』
同じ著者の書籍です。現代病に関する記述や、運動だけでなく食事や睡眠、マインドフルネスなどについて学べます。
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