地政学入門書の決定版『 13 歳からの地政学』

13歳地政学 書籍感想

(アイキャッチの商品画像は、東洋経済 STORE HP よりダウンロードしています)

おはようございます。

突然ですが、みなさんは「地政学」という言葉を聞いたことがありますか?

地政学とは、地理学と政治学を合わせた用語です。国の地理的な条件をもとに、政治的、社会的、軍事的な影響を研究する学問における研究分野を指します(地政学とは何か?国際問題の鍵を握る学問を解説より引用)。

この地政学は、今の世界の動きを理解し、未来の動向の予測に役立つため、ビジネスパーソンにとっての新たな教養として注目されています。

今回は、そんな地政学を学ぶ上で、入門書としてピッタリの書籍を読む機会を得ました。学びの多い読書経験となったため、記事にまとめたいと思います。

タイトルには「13 歳からの」とありますが、30 歳を過ぎた私にとっても新しい学びでした。

本日は、書籍『 13 歳からの地政学: カイゾクとの地球儀航海』(著者:田中孝幸さん)の要約・感想記事です。

本書を読み、地政学について学んでみましょう

地政学入門書の決定版『 13 歳からの地政学』

記事の内容は、以下の通りです。

  • 本書の概要と著者について紹介
  • 遠交近攻という外交戦略
  • 地政学的にチートな国、アメリカ

それぞれの内容についてみていきます。

本書の概要と著者について紹介

本書の概要です。
本書は 2022 年に東洋経済新報社より出版されました。

子どもも大人も知っておきたい世界のしくみ!

「地政学」がわかれば、歴史問題の本質/ニュースの裏側/国同士のかけひき…が見えてくる!

高校生・中学生の兄妹と年齢不詳の男「カイゾク」との会話を通じて、
「地政学」が楽しくわかりやすく学べる一冊

【絶賛の声、続々!】
真山仁氏(『ハゲタカ』著者)
「大人にこそ読ませたい未来を生き抜く必読書
戦争、平和、日本の行く末を知る羅針盤がここにある!」

杉山晋輔氏(前駐米大使)
「今の日本にこそ求められている一冊!
複雑な国際情勢が物語でやさしくわかる」

東洋経済 STORE 商品紹介ページより引用

著者の田中孝幸さんは、国際政治記者の方です。詳細なプロフィールは公表されていませんが、大学時代にはボスニア内戦を現地で研究されたようです。その後、新聞記者として政治部、経済部、国際部、モスクワ特派員など 20 年以上のキャリアを積み、世界 40 カ国以上で様々な分野の取材をされたようです。

本書は田中さんにとっての第 1 作の書籍にあたります。本書は読者が選ぶビジネス書グランプリ 2023「リベラルアーツ部門賞」の受賞や、中田敦彦さんの Youtube 大学で取り上げられる等、大きな反響を呼んでいます。

物語の主たる登場人物は、高校生と中学生の兄妹と年齢不詳の男「カイゾク」の 3 人です。彼らの話を通じて、国際情勢やニュースの裏側が、楽しくわかりやすく学べる一冊となっています。

遠交近攻という外交戦略

この言葉は、現代の外交戦略を表すキーワードとして解説されていました。

遠交近攻という言葉は古くからあり、その由来は中国の戦国時代(紀元前 403 年~同 211 年)の兵法書「三十六計」にあります。

遠交近攻とは「遠きと交わり(同盟を組み)、近く(の相手)を攻める」という戦略を指し、戦国時代の一国だった秦は、遠い国である斉や楚と同盟し、近い国の韓・魏・趙を攻めました。これにより秦は拡大・発展を続け、そして中国統一を果たしたとされています。

現代は戦国時代ではないため、この遠交近攻という戦略は、近国を侵略するためではなく、脅威に備えるための手法として活用されています。

例えば、日本にとっての日米同盟や、東南アジア諸国連合(Association of Southeast Asian Nations:ASEAN) との関係強化は、中国という近くの脅威に対する遠交近攻といえるかもしれません。

また、中国がアフリカ諸国に対して莫大な資金援助をしているのも、「一路一帯」(アジアとヨーロッパを陸路と海上航路でつなぐ物流ルートをつくって、貿易を活発化させ、経済成長につなげようとする構想)を通した、アジアの覇権を握るための外交戦略(特に対インド)と言えそうです。

このように、現代の国際情勢は、各国の地理的な関係が大きく影響を及ぼします。世界のニュースを見るときには、この遠交近攻という考え方を知っておくと、各国の外交政策を理解する助けとなります。

ちなみに、日本はアジアの極東に位置しているため、東アジアの国々以外にとっては、「遠い国」です。欧米諸国やアフリカ諸国と日本の関係性を考える際には、このことをぜひ頭に入れておきましょう。

遠交近攻という言葉や意味は、本書で初めて知りました

地政学的にチートな国、アメリカ

先に述べたように、国の地理的な要因は、政治的・社会的・軍事的な影響を及ぼします。
その地理的な要因の中でも、よい / 悪い条件があり、その中でも好条件に恵まれた国が、世界のリーダーであるアメリカです。

アメリカが現代における超大国であることに異論はありません。このようになった要因は、地政学の観点からある程度説明が可能です。

まず、アメリカの国土は西側が太平洋に、東側が大西洋にそれぞれ接しています。つまり、国土の東西を大海という防壁で守られているのです。大海を自国の領海として使えることは、領土の防衛だけでなく、軍事戦略の面でも大きなメリットがあります。

現代における最強の兵器は間違いなく核兵器であり、深く安全な海を保有することは、核兵器の保有(深海は兵器を隠す場所となる)を可能にします。

また、アメリカは北はカナダと、南はメキシコと接しています。いずれもアメリカに匹敵するような大国ではありません。さらに、近隣諸国にも、アメリカに対して侵略行為をできるような大国はありません。

加えて、暑すぎず寒すぎない気候と、豊かな天然資源にも恵まれているため、食料やエネルギーの自給率の点でもアドバンテージがあります。さらに自然も豊富であるため、結果として世界中から人が集まります。人が多く集まる国は栄えます。

このように、地政学の観点からみてみると、アメリカが世界の超大国として君臨していることは、なかば必然ともいえそうです。

このような好条件を満たす国は、アメリカ以外にはほとんどありません。そのため、著者は、まだこの先もアメリカが世界一の国であり続けるだろうという見解を述べていました。

好条件が揃っているアメリカは強いですね

まとめ

地政学の観点は、複雑化する現代の国際情勢を理解する助けになるでしょう。地球儀をぼーっと眺めてみると、意外な発見があるかもしれません。

本日は、書籍『 13歳からの地政学:カイゾクとの地球儀航海』より、

  • 本書の概要と著者について紹介。本書はやさしい物語で、現代の国際情勢を地政学の観点から解説した書籍。反響も大きいよう。
  • 遠交近攻という考え方を紹介。この考え方は外交戦略のキーワード。
  • アメリカは地政学的に恵まれた国であり、今後も世界一の国であり続ける可能性が高い。

上記 3 点について、私なりに要約・感想を記しました。

本書を通して、初めて地政学という学問に触れることができました。国際情勢はどんどんと複雑になっていますが、そんなときこそ地球儀を眺め、どの国がどこに位置しているかという、シンプルな観点から考えてみることが重要なのでしょう。

本書は、タイトルにもあるように 13 歳の読者にも読みやすいような、平易な文章で書かれていました。本書が地政学入門の決定版として扱われていることも納得がいきました。

13 歳からといわず、30 歳を過ぎても遅くはありません。読書を通じて、新しい学びを続けましょう!

ぜひ手に取ってみてください

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