バッタを倒す?アフリカへ??『バッタを倒しにアフリカへ』【書籍感想】

虫取り網と田んぼ 書籍感想

おはようございます。

アフリカ? バッタ? 倒す??
みなさんは、この単語がリンクしますか?
私自身は全く分かりませんでしたが、「なにこのタイトル、おもしろそう!」と印象に深く残りました。
そして表紙のインパクトです。
一気に引き込まれて読み進められました。

本日は、『バッタを倒しにアフリカへ』という書籍の感想記事です。

本書を読み、ある日本人バッタ研究者の異国の地での奮闘と、バッタに対する情熱に触れましょう。

バッタを倒す?アフリカへ??『バッタを倒しにアフリカへ』

記事の内容は、以下の通りです。

  1. 農作物に深刻な被害を与える、黒い悪魔サバクトビバッタ
  2. 突出した文章力を堪能する
  3. 夢をあきらめずに突き進む人は、カッコいい

それぞれの内容についてみていきます。

農作物に深刻な被害を与える、黒い悪魔サバクトビバッタ

本書は、著者の前野ウルド弘太朗さんが、アフリカ西海岸の国モーリタニアで過ごした研究活動の記録が記されています。

著者が研究対象にしているのは、「サバクトビバッタ」という種類のバッタです。
このサバクトビバッタは、数年に一度大量発生するのだそうです。
そして現地の農作物を食い荒らし、甚大な被害を与えることから、別名「黒い悪魔」と呼ばれています。

このサバクトビバッタを含む、「バッタを含むの生態を理解し、防除技術を開発して彼らの暴走をとめ、アフリカの民を救うこと(前野ウルド浩太郎の業績より引用)」を夢とするバッタ博士が、著者の前野さんです。

サバクトビバッタによってもたらされる食料被害は甚大で、約60ヵ国が農業被害に遭い、被害面積は地球上の陸地面積の約20% にも相当するとのことですから、驚きです。

日本に住んでいると実感することはまずありませんが、アフリカや中東・インドでは深刻な問題であるようです。

突出した文章力を堪能する

私が本書をとても興味深く読むことができたのには、2つの理由があります。

ひとつは、バッタ研究という、私にとって完全に未知の題材を扱っていた点です。
人間、未知の分野を知ることは楽しいと改めて感じました。
(バッタ研究が未知の分野ということは、私に限らず多くの人にあてはまると思いますが。)

もう一つは、著者の卓越した文章力です。モーリタニアの地でバッタ研究に取り組んだ、という一般人ではなしえない経験を、ユーモア溢れる文章で見事に表現していました。

特に随所に出てくるジャンプネタは、世代的にドンピシャで、とても楽しめました。

ご本人としては命をかけて過ごしたモーリタニアでの研究生活の日々が、クスリと笑える文章で伝えられていますから不思議です。

もうとにかく、これは読んで実感していただくのみです。

夢をあきらめずに突き進む人は、カッコいい

本書を通じて、著者である前野さんのバッタに対する愛情、研究に対する情熱を強く感じました。
また、描いた夢(前野さんの夢は、『ファーブル昆虫記』の作者ジャン・アンリファーブルのような昆虫博士になること、とのことです)を諦めずに行動することの大切さも感じました。

また、前野さんはモーリタニアへ渡るときは現地の言葉(フランス語)もわからないまま飛び込んだそうです。
それでもモーリタニアの人々の協力を得ながら成果をあげていく姿には、強く感心しました。
やはり、本気で動く人の姿は、たとえそれが異国の人であっても影響を与えるんだと思いました。

やはり、職業がなんであれ、自分の仕事に熱意をもって取り組まなければならないですね。

まとめ

本書は、タイトルと表紙のインパクトと、それに負けない面白さを持った書籍でした。
本書を読むことで、まずサバクトビバッタについての興味を持ちます。
そして、著者である前野さんについてもおそらく興味を持つと思います。
私はそうでした。

人生をかけた研究生活記録なのにクスリと笑える箇所もあれば、感動で鳥肌が立つ箇所など、極上のエンターテイメント作品を読むことができました。
バッタ研究に興味がない人でも、非常に楽しめる内容だと思います。

ぜひ手に取ってみてください。

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