知識よりも大切なこと『わが子に伝えたいお母さんのための性教育入門』

書籍感想

おはようございます。

本日は性教育がテーマの書籍を取り上げます。

「性教育」と聞くと、みなさんはどのようなイメージを持つでしょうか。

  • なんとなく学ぶもの
  • 学校の授業で、男女別々に聞いたくらい
  • かえって性に積極的になりそうで心配
  • 寝た子は起こすな

このように、子どもに対する性教育は、ある意味タブー化していたり、教える側の方が身構えてしまう分野かもしれません。

現代は、容易に性に関する情報にアクセスできる時代です。この時代を生きていく子どもたちに対して、私たちがどのような姿勢で性教育に向き合うべきか。親としては頭を抱えるポイントだと思います。

詳細は後述しますが、本書には、性教育は「性に関する知識を教えること」ではなく、「人が生きていくために大切なことを伝えるもの」という著者の考えと、親として深く共感できるメッセージが記されていました。

手探りになりがちな性教育について、エキスパートの考えに触れてみましょう。

本日は、書籍『わが子に伝えたいお母さんのための性教育入門』(著者:直井亜紀さん)の要約・感想記事です。

本書から学べることは、知識の前に伝えたいことです。

『わが子に伝えたいお母さんのための性教育入門』

記事の内容は、以下の通りです。

  • 本書の概要と、著者について紹介
  • 赤ちゃんはどこからきたの?と聞かれたら…

それぞれの内容についてみていきます。

本書の概要と、著者について紹介

本書の概要です。本書は実務教育出版より 2020 年に出版されました。

4万5千人の子ども達、2万人の大人達が受講し、日経、読売、朝日、毎日、NHKで紹介された内容を初の単行本化!
著書10万部超の人気漫画家・ブロガーゆむいさんの章末マンガも収録!

・子どもが「赤ちゃんはどこから来たの?」と疑問をもったときは、家庭で性教育を始める絶好のチャンス
・子どもの年齢に応じた性の話を包み隠さず伝える
・両親の出会いから結婚、妊娠、出産までを1つのストーリーにする
・第二次性徴は「大人スイッチ」が入る、とてもかっこいいこと
・わが子に「早くセックスを始めてほしい」と願う親はいない
・わが子が性犯罪加害者や被害者にならないために伝えること
・妊娠は「してはいけないことをしてしまった結末」ではない
・性感染症から身を守ることを伝える
・ちゃんと性教育するのは生々しく伝えることではない
・家族から愛されている実感が無茶な性行為を遠ざける など

実務教育出版 HP 商品紹介ページ(https://jitsumu.hondana.jp/smp/book/b517155.html)より引用

著者は助産師の直井亜紀さんです。直井さんは 2008 年より助産院の院長を務める傍ら、2020 年には一般社団法人ベビケア推進協会代表理事にも着任されています。

直井さんには多くの講演やセミナーの開催実績があり、関東を中心とした小中高校生や保護者を対象とした「いのちの授業」「家庭で伝えたい性教育」など、多くの活動をされています。

その内容の反響はかなり大きいようで、埼玉県八潮市では、これらの内容が市内の教育カリキュラムとして導入されているほどのようです。

そのような活動実績に対して、令和元年度には内閣府特命担当大臣表彰が授与されています。

本書は、そんな向井さんの第一作目の著書にあたります。直井さんの書籍には、本書の他に『マンガでわかる思春期のわが子と話したい性のこと(2021)』という書籍があります。こちらの書籍も、家庭における性教育が題材となっているようです。

直井さんが語る性教育を端的にまとめると、性教育で大切なことは、知識よりも子どもとの向き合い方です。そのため、本書では性器の解剖学的な知識や、妊娠の仕組みはあまり解説されていません。

具体的な知識を教えることも確かに性教育ですが、本書のタイトルにあるように、「お母さんのための」性教育とはどのようなものなのか、まだ性行為を知らない子どもに対して親がどう向き合うか…本書からはそんなことを学べると思います。

性教育=性行為に関する知識を教える、ではないようです。

赤ちゃんはどこからきたの?と聞かれたら…

この質問、多くの親が子どもからされたのではないでしょうか。我が家も第二子の妊娠中に、上の子から同じように聞かれた記憶があります。

子どもとっては、「赤ちゃんがどこから来るのか」はごく自然に抱く疑問です。ただ、多くの場合、親は子どもからなんの前触れもなく質問されるため、オドオドしたり、はぐらかしたり、「コウノトリがね…」なんて言ってしまいがちです。

しかし、直井さんによると、子どもからこの質問が出てきたときこそ、性教育を始める絶好のチャンスなのだそうです。

このチャンスを活かすうえで、カギとなるポイントが 2 つあります。それは、年齢に合わせた表現で伝えることと、「点」ではなく「線」でいのちの誕生のストーリーを伝えることです。

年齢に合わせた表現で伝える

子どもの年齢にもよりますが、そのような質問をする子どもは、多くの場合「妊娠=性行為」とは考えません。純粋に、赤ちゃんがどこから来るのか聞いているだけです。「どうして空が青いの?」と同じレベルの疑問なのです。その時期の子供に対して、「太陽に含まれる光のうち、波長の短い色の光がね…」と真顔で回答する親は少ないでしょう。

本書で紹介されていた対応例の 1 つとして、まだ子どもが幼いのであれば、「不思議だね、どこから来るんだろうね」といって、同じ目線になってあげることが挙げられていました。この質問に対する回答は明確でなくても構わないのです。

一昔前は、ご近所のものも含めて、妊娠→赤ちゃんの誕生は身近なものでした。現在は核家族化や近所付き合いの希薄化、さらにコロナ禍の影響もあり、「いつの間にかあの家に赤ちゃんが産まれてる」ということも少なくなく、子どもたちが妊娠・出産に触れる機会が少ない時代になったと直井さんは述べています。

ここから言えることは、時代の変化が悪いのではなく、このような時代だからこそ、私達はどのように妊娠や出産などの性教育を行うかを考える必要があるということです。

いのちの誕生を、点ではなく線で伝えよう

「わたしはどんなふうにして生まれたの?」も、子どもからされて回答に困る質問の代表格です。

もちろん出産は命がけのイベントですから、この質問に対して、「痛くて死にそうだった」や「辛かった」などの感想を伝える方もみえるでしょう。

しかし、直井さんはこの点について、「どんな出産だったか」は答える必要はないと述べています。

想像してみてください。「あなたを産むのにすごく苦しい思いをした」という一言を、子どもは聞きたいでしょうか。もちろん親には子を傷つける意図などなく、その裏には子への愛情があると思いますが、まだ幼い子どもには「察する」という能力はありません。文字どおりの内容を受け止め、「わたしはお母さんを苦しめたんだ」と考える可能性もあります。もちろん、多くの場合、出産は激しい痛みを伴うものだと思います。痛かった、辛かったことにウソをつく必要はないと思いますが、伝え方には十分に気をつけたいところです。

また、子に自らの出生を教えることも、立派な性教育になると紹介されていました。このときに意識するべきことは、妊娠や出産に関するできごとを、ひとつひとつの「点」ではなく、ストーリーのある「線」で伝えることです。

あなたが生まれる前にパートナーと出会い、二人で楽しい時間を過ごしたこと、赤ちゃんが来てほしいなと思うようになり、お母さんのお腹の中にあなたが来てくれたこと、あなたが生まれてきてくれて、とても幸せな気持ちになれたこと…

それらのストーリーを通して、子どもに「自分の誕生は望まれたものであり、家族の幸せの中で迎え入れられた」ことが、しっかりと伝わっているかどうか。これが性教育の一丁目一番地であると直井さんは説いています。妊娠や性行為に対する具体的な知識は、そのストーリーの延長上に学んでいけばよいのです。

「わたしは親に愛されて、大切にされている」という実感が、性教育に限らず、子どもが生きていくうえですべての土台になるということを、私たちは認識しておいたほうがよいでしょう。

本書をよみ、私も子どもにストーリーで誕生について伝えました。嬉しそうでした!

まとめ

性教育と聞くと身構えてしまいがちですが、同じ目線に立ち、いのちの誕生をストーリーで伝えることから始めてみましょう。子どもに、「わたしは愛されて、望まれて生まれたんだ」と伝わるとよいですね。

本日は、書籍『わが子に伝えたいお母さんのための性教育入門』より、

  • 本書の概要と著書について紹介。本書は助産師である直井さんの第一作目。
  • 子どもからの質問に対しては、具体的な回答でなくてもよいかも。いのちの誕生を「点」ではなく「線」で伝えよう。

上記 2 点について、私なりに要約・感想を記しました。

点ではなくストーリーで、家族の幸せの中で迎え入れられたということを伝えようというメッセージは、個人的にはとても納得のいくものでした。このことを子ども自身が感じられているかどうかが、自己肯定感を高く保つためのカギとなるのでしょう。

本書は、性に関する知識だけではなく、その土台となる部分に関してはっきりとしたメッセージを伝えてくれるます。まさに性教育の入門書としてピッタリだと感じました。

幼い子をもつ方や、現在妊娠中の方、そのパートナーなど、多くの方にとって読む価値のある内容だと思います。

ぜひ手にとってみてください

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