『LIFE SHIFT』要約 100 年時代の生き方・働き方とは

ライフシフト 書籍感想

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おはようございます。

人生 100 年時代というコトバもずいぶんと聞き慣れてきました。

寿命が延びることはもちろん素晴らしいことですが、一方で、

「100 年もの長い時間を自分らしく生きるには、どうしたらいいか?」
「資産との付き合い方や仕事はどう変わっていくんだ?」

のように、寿命が延びることに対する不安や疑問、あるいは 100 年人生を災厄に感じることはないでしょうか。

そんな不安や疑問に対しては、本書で学べる内容が解決のヒントになるかもしれません。

なぜなら本書には、未来が過去の延長上にないと気づいている人や、長寿を災厄ではなく恩恵にできる可能性を最大限に高めたいと望む人たちにとって、長寿化の恩恵を現実にするための第 1 歩となるような内容が述べられているからです。

本記事では書籍の内容を中心に、人生 100 年時代で私たちを待ち受けている変化について、

  • 人生ステージの変化:3 ステージからの脱却
  • 資産の変化:形の見えない無形資産がカギ
  • 時間の使い方の変化:レクリエーションからリ・クリエーションへ

上記 3 点について紹介します。

本記事を読み終わるころには、100 年時代を生きるうえで念頭に置いておきたいことがなんとなくわかるようになると思いますし、紹介する書籍に興味を持っていただけると思います。

本日は、書籍『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)  100 年時代の人生戦略』(著者:リンダ・グラットンさん / アンドリュー・スコットさん)の要約・感想記事です。

本書を読み、人生 100 年時代を楽しむための考え方を学びましょう

『LIFE SHIFT』要約 100 年時代の生き方・働き方とは

人生ステージの変化:3 ステージからの脱却

1 つめは、人生ステージの変化です。

100 年時代では、人生がこれまでの 3 ステージ・一斉行進型からマルチステージ・移行型へと変化していきます。

これはどういうことかというと、100 年時代では既存の生き方である 3 ステージ(教育→仕事→引退)は崩壊を余儀なくされ、4 や 5 のように複数のステージが待ち受けているということです。

3 ステージの人生は「定年まで勤めて、引退後は年金で生活」が成立した

まず、3 ステージ・一斉行進型の人生には、以下のような特徴があります。

  • ステージの変化は 2 回
  • 多くの場合、年齢 = 人生のステージ
  • 必要されるスキルは自分の職業に関すること
  • 該当するのは 1940-1970 年生まれの人
  • 貯蓄 + 公的 / 企業年金で引退後の生活は OK

3 ステージ・一斉行進型の人生を歩んできた方々にとっては、学校教育の終了とともに仕事のステージに移行(就職)して、終身雇用制のもと 1 つの職場で定年まで勤めあげ、そして引退後は貯蓄と恵まれた年金で比較的安定した生活を送るという人生がモデルケースでした。

しかしこのモデルケースは、終身雇用制の崩壊や増大する社会保障支出と減少する年金受給額などの要因を背景として、もはや成立しなくなってきているといわれています。

マルチステージ型では複数回の変化が当たり前に

一方で、マルチステージ型の人生には、以下のような特徴が挙げられます。

  • ステージの変化は複数回
  • 年齢 = ステージではなくなる
  • 必要とされるスキルは、変化を受け入れて未知の行動に乗り出す姿勢
  • 該当するのは 1980 年以降に生まれた人
  • 引退後の生活資金は、貯蓄 + 年金だけでは不安

マルチステージというだけあって、ライフステージ変化は 3-4 回は当たり前、人によっては 5 回以上経験することになるでしょう。また、学校教育終了とともに就職ではなく、後述するエクスプローラーのステージや、各ステージの移行期間を経ながら、長寿化の恩恵を享受できるような生き方を模索していく必要があります。

また、マルチステージの人生では、既存の教育・仕事・引退後ステージのみでなく、新しいステージが登場すると紹介されていました。それはエクスプローラー(探検者)、インディペンデントプロデューサー(独立生産者)、ポートフォリオワーカーの 3 つです。

エクスプローラー(探検者):いわゆる自分探しのステージ

エクスプローラーのステージでは、一箇所に腰を落ち着けるのではなく、旅をして世界 / 自分について新しい発見をする日々を送ります。自分自身の目で世界がどのように動いているかを見て、自分にとって好きなこと・得意なことを発見することが目的です。

このステージには年齢の制約はありません。しかし、もっとも適しているのは 18-30 歳の時期です。この時期に単なる旅行をするのではなく、多くの人と交わり、一歩踏み込んだ多くの経験をすることにより、将来の選択肢を増やすことができます。

一歩踏み込んだ経験の例として、たとえば現地の人といっしょにイベントを開いたり、小規模な事業を展開することなどがあります。これらは、観光地を巡るだけの単なる旅行ではなく「生きた経験」となります。

そこで得た経験や人とのつながりは、間違いなくその人にとっての資産となるでしょう。

インディペンデントプロデューサー(独立生産者):自分の職を生みだす

インディペンデントプロデューサーは、自らの職を生みだす人を指します。この人にとっては事業や活動自体が目的であることが多く、事業を売却して金銭的な成功を収めることが最優先ではありません。また、人生を通して学びを続け、試行錯誤をくり返して成功を手にします。

このステージも、エクスプローラーステージと同じように年齢の制約はありません。ただし、SNS やインターネットを通して自らの評判を高めたり人的ネットワークを発達させていく能力が求められるため、それらに対してバリアを感じる場合は苦労するかもしれません。

ポートフォリオワーカー:複数の仕事を組み合わせて働く

ポートフォリオワーカーとは複数の仕事を組み合わせて働く人のことを指します。複雑で激しい変化が待ち受ける時代ではスペシャリストとして生きるだけではなく、変化に合わせて持っているスキルを組み合わせる、または仕事をスイッチングしながら生きる時期も必要になるでしょう。

このステージにも年齢の制約はありません。ポートフォリオワーカーは副業ではなく複業(本業が複数ある)と考えてみるとイメージしやすいと思います。

このように、人生 100 年時代では既存のステージのみでなく新しいステージが出現することと、複数回の変化が待ち受けていることは、念頭に置いておくとよさそうです。

変化を受け入れ、柔軟に対応したいですね

資産の変化:形の見えない無形資産がカギ

2 つめの変化は、資産についてです。

人生 100 年時代では、資産の概念も変化します。豊かな人生を送るためには、無形資産を充実させることがカギを握っています。

無形資産に恵まれた人生 = よい人生

無形資産とは目に見えない資産のことです。それ自体はお金に換算できず、測定や定量化もできません。なんだか掴みどころがありませんが、本書ではそんな無形資産に恵まれた人ほどよい人生を送ることができると述べられていました。

無形資産には生産性資産、 活力資産、変身資産の 3 種類があり、いずれも所得とは独立して幸福度に影響をおよぼします。

生産性資産

生産性資産とは仕事で成功し、所得を高めるための要素です。一般的には仕事に活用する知識やスキルを指すことが多いですが、ともに仕事をする仲間や、ブランドや評判なども含まれます。

3 ステージの人生では早い段階(教育のステージ)で知識を身につけ、仕事のステージでそれを定年に向けて徐々に消費していきました。労働期間が 40 年程度であれば、それで十分だったのです。

しかし、100 年時代では引退までの時間が長いため、生産性資産を消費するだけでなく、生涯にわたって獲得し続けることが必要になるといわれています。

また、知識だけならばインターネットですぐに手に入れることができるため、これからは手にした知識をどのように活用するかという技能が重要性を増していきます。他の人と差をつけるためには、創造性や変化に対応する柔軟性がカギを握る能力になるでしょう。

活力資産

活力資産とは肉体的・精神的な健康と幸福に寄与する要素を指します。病気になりにくい健康的な身体だけでなく、家族や友人、パートナーとの良好な関係も含まれます。これらが充実することにより、ストレスをコントロールし、前向きな人生を送ることができます。

活力資産は、仕事ばかりの日々ではだんだんと消耗していきます。そのため、長い人生では活力資産を適当なタイミングで補充する必要性があります。つまり、活力資産補充のステージ(たとえばパートナーと一緒に過ごす時間を取り戻すための旅行期間など)も必要になるでしょう。

変身資産

変身資産とは、新しいステージへの移行を成功させる意思と能力のことです。

先述のとおり、100 年時代では人生のステージが複数回変化すると予想されています。そしてその変化も複雑・急速に発生するため、変化に対しては準備不足で対応困難になりやすいです。変身資産は、この変化のプロセスを助けます。

本書では、変身資産に必要とされる 3 つの要素として自分自身に対する理解、活力と多様性に富むネットワーク、新しい経験に対する開かれた姿勢が挙げられていました。

自分自身に対する理解

現在の自分はなにを知っていて、なにができるのか。また、将来のなりたい / なりたくない自己像は何なのか。これらをはっきり理解しておくと人生に軸ができ、進むべき道筋がみえます。

自己に対する理解を高めておくことは、変化が待ち受ける時代で自分らしく過ごすために必須です。

活力と多様性に富むネットワーク

活力と多様性に富むネットワークは変化 / 変身にたいするロールモデルと出会う絶好の場となり、私達に変身後のイメージを抱かせてくれます。

マルチステージの人生では、準拠集団(自らの価値観や判断に影響をおよぼす集団)が何回も変わります。活力にあふれ、多様な考え方・生き方を実践している人たちからは、「自分も頑張るぞ!」といういい刺激をもらえるでしょう。

新しい経験に対する開かれた姿勢

新しい経験や未知の世界、待ち受けている変化に対して、それらを恐れず若者のように柔軟でいることは、100 年時代を生きるうえで重要な姿勢です。

ここまで無形資産について紹介してきました。そして言うまでもなく、100 年時代の資産は有形 / 無形のバランスが重要です。どちらかに偏ることがないように、定期的に見直していきましょう。

お金も大事ですが、お金に替えられない資産も大切にしましょう

時間の使い方の変化:レクリエーションからリ・クリエーションへ

3 つめは、時間の使い方の変化です。

100 年時代では、余暇を含めた時間の使い方が新しいものになります。キーワードは「レクリエーションからリ・クリエーションへ」です。

減る労働時間と増える労働年数・余暇時間

日本を含む世界の労働時間は、時代とともに短縮しています。この背景には技術革新や働き方の多様化などの要因があり、AI やデジタル技術の指数関数的な進歩を追い風にして、労働時間の短縮化はこの先ますます進むものと思われます。

さまざまな要因により働く時間が短くなる一方で、長寿化によって確実に増えるのが働く年数です。

当たり前のことですが、長く生きることは長く働く(Live Longer,Work Longer)ことです。2025 年 4 月から 65 歳までの雇用確保が義務づけられたのは記憶に新しいところであり、人口減少・高齢化が進む日本では 70 歳以降でも働く未来となっていても、なんら不思議ではありません。

余暇時間を無形資産へ投資する

長い期間を息切れすることなく働くためには、心身の健康はもちろん、絶えず変化を続ける世の中に対して知識やスキルをアップデートし続ける姿勢や、家族・友人との良好な関係を保つことが必要となります。つまり、無形資産への投資が長期間労働のカギを握るのです。

そして、この投資は仕事以外の時間 = 余暇の時間を使って行われます。今までの余暇時間は「消費して楽しむもの:レクリエーション」でしたが、100 年時代では「無形資産へ投資するもの:リ・クリエーション」に変わっていきます。

運動をして健康状態を高める、学び直しの期間にする、家族・友人とともに過ごすなどで、無形資産を補充しましょう

まとめ

人生 100 時代というコトバは浸透しました。次は行動です。長寿化が恩恵になるか災厄になるかは、一人一人の行動にかかっています。もちろん、恩恵を受けられるようにしたいですね。

本日は、書籍『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)  100 年時代の人生戦略』より、

  • 人生は 3 ステージからマルチステージへ変化する。新しいステージに柔軟に対応しよう。
  • 資産はお金だけでなく、健康や知識・スキル、人間関係など、無形のものがより重要になる。よい人生 = 無形資産に恵まれた人生。
  • 余暇時間の使い方は、消費して楽しむものから、無形資産へ投資するものに変わる。余暇時間で、長く働くための土台を築こう。

上記 3 点について、私なりに要約・感想を記しました。

いかがでしたか?
本記事から人生 100 年時代を自分らしく生きるための考え方のヒントが得られたり、あるいは、抱きがちな疑問やネガティブな印象を少しでも払拭する機会となれば幸いです。

個人的には、私たちにはマルチステージの人生が待ち受けていること、変化を柔軟に受け入れるために日々学び続けていくことが本書から得られた点でした。変化は否応なくやってきますので、叶うのであれば変化に対して受動的ではなく能動的な姿勢を保ちたいですね。

本書では記事で紹介した内容のほかに、資金計画や、異なる時代に生まれた 3 人の人生シナリオなどが述べられています。まさに 100 年時代の人生設計書ともいえる名著だと思いました。

誰もが 100 年生きうる時代をどう生き抜くか。年末年始の忙しい時期だとは思いますが、一度足を止めて考えてみるのはいかがでしょうか。

長寿化の恩恵を受けられるよう、学び続けましょう!
書籍もぜひ手に取ってみてください。

【よりよく生きるヒントを得られる書籍の紹介】

『限りある時間の使い方』

時間との向き合い方について、これまでの認識を 180 度変えてくれる書籍です。
「時間を支配することを諦める」「やらないことを決める」など、有意義な時間の使い方について考えるきっかけになると思います。

『開かれたパンドラの箱 老化・寿命研究の最前線』

長寿化の背景にある寿命・老化研究の最前線について、世界のトップを走る日本人研究者による書籍です。
世界の長寿化研究について学べるだけでなく、寿命が延びた人生で何を成し遂げるかについて、著者からのメッセージにも触れることができます。

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