心の中をググろう『サーチ・インサイド・ユアセルフ』

サーチ・インサイド・ユアセルフ 書籍感想

おはようございます。

突然ですが、マインドフルネスや瞑想について、みなさんはどのような印象を持っているでしょうか?

あまりなじみのない方が多いかもしれませんが、瞑想に代表されるようなマインドフルネスには数多くのエビデンスがあり、その内容は世界のトップ企業の研修でも取り入れられているほどです。

また、これらは精神や感情、身体の健康のメリットもあります。ストレスの軽減、幸福感、自己の成長、集中力や生産性にまで影響を与えるという瞑想は、さまざまなプレッシャーに翻弄される現代人にとって、一度は試す価値のあるセルフケアと言えるかもしれません。

この度、あの Google で生まれたマインドフルネス講座をもとにした、入門書と呼ぶべき書籍を読む機会を得ました。瞑想やマインドフルネスに対して、これまでの概念を改めてくれる良書でした。学びの多い読書経験でしたので、記事にまとめたいと思います。

本日は、書籍『サーチ・インサイド・ユアセルフ』(著者:チャディー・メン・タンさん)の要約・感想記事です。

本書を読み、マインドフルネス瞑想に入門してみましょう

心の中をググろう『サーチ・インサイド・ユアセルフ』

記事の内容は、以下の通りです。

  1. 本書の概要および著者について紹介
  2. Google で開発されたマイントフルネス講座「 SIY 」とは?
  3. マインドフルネス瞑想で注意力を鍛える

それぞれの内容についてみていきます。

本書の概要および著者について紹介

本書の概要です。本書は 2016 年に英治出版より出版されました。

Google 発、世界のビジネスリーダーが実践する能力開発プログラムのすべて!

なぜ Google の社員は、楽しく創造的に働き、柔軟性を持ち、優れた成果を上げられるのか? その鍵を握るのが、「心」に関する独自の研修「サーチ・インサイド・ユアセルフ(SIY)」。

心を整える手法「マインドフルネス」を、科学に基づき、日々実践しやすい形にしたこの研修は Google 内で熱狂的に支持され、SAP、アメリカン・エキスプレス、LinkedIn など他の企業や大学にも次々に採用されている。

その内容を開発者が自ら語った本書は、まさにマインドフルネス実践のバイブル。1 分でできるものから本格的なものまで、自己管理力、創造性、人間関係力など様々な能力を高める技法をわかりやすく伝授する。

英治出版 商品紹介ページ(https://eijipress.co.jp/products/2227)より引用

著者は、チャディー・メン・タンさん(中国、元ソフトウェアエンジニア)です。

タンさんは 2000 年に Google に入社され、エンジニアとして活躍する一方、マインドフルネスをベースにした研修プログラム「サーチ・インサイド・ユアセルフ(search inside yourself : SIY)」を開発されました。

その後、タンさんは 2015 年に同社を退社し、「サーチ・インサイド・ユアセルフ・リーダーシップ・インスティチュート(SIY leadership institute : SIYLI)」を設立されました。タンさんは 2018 年に SIYLI を辞任されていますが、現在は企業研修などを通じてマインドフルネスの普及活動を行っているようです。

タンさんの著書には、本書の他に『サーチ 富と幸福を高める自己探索メソッド』( 2012 )、『ジョイ オンデマンド たった一呼吸から幸せになるマインドフルネス』( 2016 )などがあります。

Google で開発されたマインドフルネス講座「 SIY 」とは?

本書は概要で紹介したとおり、タンさんが Google に在籍していたときに開発したマインドフルネス講座 SIY ( Search Inside Yourself ) について紹介したものです。

マインドフルネスとは、現在起こっている経験に注意を向ける心理的な課程や状態を表します。瞑想は、マインドフルネスに到達するための手段のひとつです。

ここで、瞑想と聞くと、

  • マインドコントロールや洗脳と関係してる?
  • なんか宗教的…胡散臭い。
  • HP が 500 回復する、あれか!?

最後のはスルーとして、このような印象を抱く方もいるのではないでしょうか。私も本書を読む前は、これらに近い印象を持っていました。

しかし、本書によれば、マインドフルネスは現代社会まっただ中の企業の現場で、ごく普通の人に有効なものです。人里離れた山奥で何年も過ごし、無の境地を目指すものではありません。

SIY は直訳すると「あなたの心の中を探しましょう」となります。Google で開発されたので、「心の中をググる」ということです。日本で SIY プログラム展開しているマインドフルリーダーシップインスティテュートでは、SIY を以下のように定義しています。

Google 社が、マインドフルネス・神経科学・エモーショナルインテリジェンスを融合し編み出した、一人一人の個性とリーダーシップを開花させる能力開発プログラム。

マインドフルリーダーシップインスティテュート ホームページ(https://mindful-leadership.jp/siy/) より引用

つまり SIY は、マインドフルネスを通して一人一人の心の能力 / 感情知性(Emotional Intelligence)を向上させ、高い生産性やリーダーシップを身につけるためのプログラムだと理解しました。

本書では、SIY を
①注意力のトレーニング
②自己認識と自制
③役に立つ心の習慣の創出

という 3 ステップで解説しています。

今回および次回記事で、これらについて学びになった内容をまとめたいと思います。

マインドフルネスの起源は仏教ですが、宗教と関係なく一般の人にも取り組みやすい方法です

瞑想で注意力を鍛える

本書で紹介されている瞑想とは、私の理解する限り、ごく簡単に申し上げると注意力のトレーニングだと思っています。

本書によると、瞑想トレーニングで鍛えられる注意力は 2 種類あります。

1 つめは、「今、この瞬間に起きていることに集中する」力です。理学療法士的に伝えると、「持続的注意」や「選択的注意」だと思います。いわゆる集中力です。

2 つめはメタ注意と呼ばれる力です。これは、本書では「注意自体に注意を払う能力」や「注意が逸れたことを自覚する能力」とも紹介されており、この能力が集中力を高く保つ秘訣なのだそうです。

注意(集中力)とメタ注意の関係は、自転車の運転と似ています。私たちが自転車を運転するときは、車体が倒れてしまわないように、重心の移動を感じ取り(メタ注意)、絶えず細かな修正を加え、バランス(集中力)を保ち続けます。

集中力もそれと同じです。1 秒たりとも集中を切らさずに、長い時間を過ごすことは難しいです。しかし、集中が途切れたことを自分自身で感じ取り、その状態をもとに戻すことができれば、集中力を高く保つことができます。

私たちの注意 / 集中を乱すモノや情報で溢れている現代では、この能力が非常に重要視されています。

そして、大切なことがもう一つあります。それは、練習を繰り返していつか自転車に乗れるようになるのと同様に、注意力やメタ注意の能力は、瞑想というトレーニングを続けることにより、高めることができるのです。

では、どのようにして瞑想のトレーニングをしたらよいのでしょうか。

瞑想の方法は様々ありますが、本書では「ただ呼吸に集中すること」が紹介されていました。瞑想と聞くと構えてしまいがちですが、私たちがするべきことは、鼻から出入りする空気に集中することのみです。この時の姿勢は、リラックスできれば何でも構わないそうです。床に座ってもいいですし、イスやソファに腰掛けても OK です。

そのようにして、ただただ呼吸に集中していると、おそらく頭の中には色々なことが浮かびます。今日聞いた歌や読んだ本の一文、仕事の失敗やその時の上司の一言…そして、これらの影響で、瞑想中はおおいに気が散ります。

私自身がびっくりしたことなのですが、「ただ呼吸に集中する状態」を保つことが、こんなに難しいとは知りませんでした。

しかし、瞑想中にどれだけ気が散っても、自己批判的になる必要はありません。このときにとるべき対応は、頭に浮かんだことについて評価や判断をせず、それを認めてあげることです。

そして、それが頭に留まり続けるようであればそうしてあげ、離れていくようであればそうしてあげましょう。Let it be です。そのあと、また呼吸に注意を戻します。本書で紹介されていた瞑想は、この繰り返しです。

瞑想トレーニングによって、脳の大脳皮質の厚みが増す、ストレス反応が低下する、集中力が増す、免疫や抗体にもプラスの効果があると報告されています。

これまで瞑想をしたことがない人(大多数だと思いますが)は、2 分間だけ呼吸に集中して、注意が逸れたら呼吸に戻るという「やさしい瞑想」から始めてみましょう。

めちゃくちゃ気が散る感覚を楽しんでみてください

まとめ

瞑想は、マインドフルネスに到達するための方法の 1 つです。まずは 2 分間、呼吸に集中することから始めてみるといいでしょう。

本日は、書籍『サーチ・インサイド・ユアセルフ』より、

  • 本書および著者について紹介。チャディー・メン・タンさんは元エンジニアで、Google 在籍時代に SIY を開発した。
  • SIY とは、マインドフルネスを通じて、一人一人の個性とリーダーシップを開花させる能力開発プログラムのこと。
  • 瞑想は、注意力を鍛えるトレーニングとなる。ただ呼吸に集中し、気が逸れたら注意をもどすことを繰り返すことから始めてみよう。

上記 3 点について、私なりに要約・感想を記しました。

本文中でも申し上げましたが、本書を読む前までは、私も例に漏れず、瞑想について「なんか怪しい」「宗教的」という漠然とした印象を抱いていました。しかし、本書で説かれている瞑想の考えは、いい意味でこれまでの私を一蹴してくれました。

本書を読んでからは、1 日 2 分の「やさしい瞑想」が私の日課になっています。瞑想を始めてかれこれ数ヶ月になりますが、いまだに気が散りまくりです。

しかし、瞑想中に「気が散ってるな」と自ら気がつくことも増えてきました。普段の生活でも、イライラする場面に遭遇した時に、「あ、今イライラしてるな」と、僅かですが、情動に押し流されずに踏みとどまることができるようになってきた気がします。メタ注意の能力もそれなりに高まってきているのでしょう。今後も瞑想を続け、自分にどんな変化が生じるのか、よーく観察していきたいと思います。

本書は、マインドフルネスや瞑想など、「気になっているけど、よくわからないな」と感じている方にとっては、入門書としてピッタリの内容だと思います。

本書を読み、日本にいながらも Google 社員と同じを学びをしてみましょう。

ぜひ手に取ってみてください

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