長寿のスイッチはカロリー制限と断食『SWITCH(スイッチ)オートファジーで手に入れる究極の健康長寿』

スイッチオン 書籍感想

おはようございます。

突然ですが、「オートファジー」という言葉をご存知でしょうか。
このオートファジーについては、東京工業大学の大隅良典博士が2016年のノーベル生理学・医学賞を受賞され、一気にその知名度が上昇しました。

オートファジーは人間が生きる上で欠かせない生体機能です。
さらに、近年の研究により、この現象が健康長寿のカギとなることや、それを活性化する生活習慣などが明らかになっています。

今回は、20 年にわたって健康長寿を科学的に探求している、弁護士・起業家から転身した異色の生物科学研究者が記した、オートファジーに関する知見をまとめた書籍を取り上げたいと思います。

本日は、書籍『SWITCH(スイッチ)オートファジーで手に入れる究極の健康長寿』(著者:ジェームズ・W・クレメントさん、クリスティン・ロバーグさん)の要約・感想記事です。

本書を読み、オートファジーを活性化するヒントを学びましょう

長寿のスイッチはカロリー制限と断食『SWITCH(スイッチ)オートファジーで手に入れる究極の健康長寿』

記事の内容は、以下の通りです。

1.オートファジーについて整理
2.オートファジーを活性化する食事術① カロリー制限
3.オートファジーを活性化する食事術② 間欠的断食

それぞれの内容についてみていきます。

オートファジーについて整理

オートファジーって何?という方もみえると思いますので、本書の説明を引用します。

オートファジーとは、細胞内の損傷したたんぱく質や細胞小器官、そのほかの細胞成分を再利用する、細胞の自己浄化機能のこと。

本文中より引用。一部改変

そして、オートファジーは健康長寿のみでなく、美容やアンチエイジングの世界でも注目を浴びています。

少し専門的な話になりますが、このオートファジーは細胞内の mTOR(mechanistic target of rapamycin:エムトア)と呼ばれるタンパク質の働きが抑制されることで誘発されます。

つまり、mTOR はオートファジーを活性化するスイッチの役割を担っているのです。

しかし、多くの現代人は常に mTOR の活動が盛んな “スイッチ on” 、つまりオートファジーは “スイッチ off” の状態です。
オートファジーを活性化して健康長寿を達成するには、われわれは細胞の mTOR に働きかける必要があるのです。

どうすればオートファジーのスイッチを “on” にできるのでしょうか

オートファジーを活性化する食事術① カロリー制限

本書ではオートファジーを活性化するための生活習慣について解説されていました。

重要となるのは、睡眠・食事・運動です。

なかでも、食事がオートファジーに及ぼす影響は大きいようで、本書でもボリュームを割いて解説してありました。

オートファジーを活性化する食事術①は、カロリー制限です。
カロリー制限とっても極端なものではありません。
栄養失調や必須栄養素の欠乏を伴わずに、摂取カロリーを制限することが推奨されていました。

本書によると、オートファジーを活性化させるためには、高脂肪・高食物繊維・低糖質でたんぱく質を抑えた食品を摂取することが望ましいようです。

ただし、高脂肪とはいっても、摂取する油は植物性を中心とします。
ナッツやオリーブオイル、DHA や EPA などのオメガ 3 系とよばれる脂肪酸を積極的に摂取しましょう。

また、水分摂取は水かお茶とし、コーヒーはブラックに、外食は自炊へと置き換えましょう。
これらにより、500kcal/ 日の摂取カロリー減少を目標とします。

反対に、最も避けるべきは乳製品や動物性タンパク質を中心とした食事です。
これは mTOR を活性化し、オートファジーを抑制してしまいます。

成長期はしっかり食事をとる必要がありますが、大人になったら腹 8 分です。牛乳も控えめに。

オートファジーを活性化する食事術② 間欠的断食

オートファジーを活性化する食事術②は、間欠的断食です。
これは、ある一定時間以上食べ物を口にしないことを指します。
本書では、16 時間以上の断食が推奨されていました。

断食によるオートファジー活性化の概要は、以下の通りです。

人体では、糖質を 12 時間以上摂取しないと、体内に貯蔵されているグルコースおよびグリコーゲンが空になります。
すると、代替のエネルギー源として脂肪が利用されます。肝臓で生成される「ケトン体」が代替燃料として用いられます。

このケトン体が血中に増えた状態のことを「ケトーシス状態」と呼びます。
ケトジェニックダイエットは、「ケトン体を生み出す食事」という意味でその名前がついています。

ケトーシス状態の体内は、本書いわく「身体がすべての代謝機能を再編成している」状態であり、人体にとって全く正常な状態とのことです。
このとき、体内の細胞は低インスリン・低血糖・低 mTOR となり、これらはオートファジーが活性化する条件を満たします。

実際に断食を行う場合、16 時間以上の断食は夕食を早めに食べ、翌朝の朝食を抜くことで実施可能です。
数回の実施で効果が出るかは不明ですが、興味を持った方は試してみてもいいかもしれません。

休みの日ならやってみてもいいかもしれませんね。
持病をお持ちの方は必ず医師に相談の上で行ってください。

まとめ

オートファジーは健康長寿のカギを握る現象のひとつです。
知識をつけ、実践できそうなことから始めてみるのはいかがでしょうか。

本日は、書籍『SWITCH(スイッチ)オートファジーで手に入れる究極の健康長寿』より、
・オートファジーは細胞の自己浄化機能
・オートファジーを活性化する食事術① カロリー制限
・オートファジーを活性化する食事術② 間欠的断食
上記 3 点について、私なりに要約・感想を記しました。

本記事では食事について触れましたが、睡眠や食事もオートファジーを活性化するために必須の生活習慣です。
適度な運動をし、睡眠時間をしっかり確保しましょう。

本書を読み、改めてオートファジーの奥深さを学びました。
栄養は身体の維持・成長に欠かせませんが、過剰となると細胞を痛め、ひいては寿命にも影響を及ぼすようです。
まさに、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」です。

本書はオートファジーという現象について解説しているため、なじみのない細胞の話や見慣れないカタカナの単語がひんぱんに出現します。
書籍も 296 ページでけっこうなボリュームなので、読み進めるにはパワーが必要です。

一方、オートファジー自体の解説は非常にわかりやすくまとめてありました。
また、すぐに実践できそうな生活習慣も多く紹介されており、非常に参考になった書籍でした。

健康長寿という万人の願いをかなえるための知識です。
学んでみても損はないのではないでしょうか。

ぜひ手に取ってみてください。

【こんな書籍もオススメです】

オートファジーを含む健康長寿については、こちらでも深く学べます。

食事術に関する書籍はこちらでどうそ。
やはり、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」です。

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