睡眠不足と脳の関係『睡眠こそ最強の解決策である』 part 3

脳の不調 書籍感想

おはようございます。

本日も、書籍『睡眠こそ最強の解決策である』に関する記事です。
part 3 にあたる本記事は、睡眠不足が脳に及ぼす影響についてまとめます。
part 1、2 の記事はこちらです↓

睡眠には身体および脳のメンテナンス作業という重要な役割があります。
睡眠不足状態となると、特に脳へはどのような影響があるのでしょうか。

本日は、書籍『睡眠こそ最強の解決策である』(著者:マシュー・ウォーカーさん)の要約・感想記事です。

本書を読み、睡眠で脳を守るという視点を持ちましょう

睡眠不足と脳の関係『睡眠こそ最強の解決策である』 part 3

記事の内容は以下の通りです。

1.睡眠不足によりブレーキの効かない脳になる
2.睡眠不足とアルツハイマー病の関係
3.脳を守るには、7 時間の睡眠時間を保とう

それぞれの内容についてみていきます。

睡眠不足によりブレーキの効かない脳になる

睡眠不足の脳は、ポジティブとネガティブの間を激しく行ったり来たりします。
これはどういうことかというと、睡眠不足により脳の中の報酬系(線条体)およびストレス系(扁桃体)のコントロールが利きにくくなる状態を指します。

私たちの脳には、進化的に新しいとされる前頭前野という部位があります。
この前頭前野が、進化的に古いとされる線条体や扁桃体をコントロールし、私たちに高度な精神機能をもたらしています。

睡眠不足は、この前頭前野の機能を弱めます。そうなると、線条体や扁桃体はそれぞれ抑制のきかない状態となります。

睡眠不足が扁桃体の活動に及ぼす影響を調べた調査があります。その実験では、参加者にネガティブな写真を見せたときの扁桃体の活動を記録しました。すると、睡眠不足のグループは扁桃体の反応が 60% も増加していたという結果だったようです。

扁桃体の活動は視床下部および脳下垂体を通じて副腎皮質に伝わり、ストレスホルモンであるコルチゾールを分泌します。また、交感神経も活性化され、副腎髄質から同じくストレスホルモンであるノルアドレナリンの分泌を促します。
大脳皮質と線条体の関係も同様です。報酬刺激に対する反応も敏感となり、ドパミンの分泌を不安定にします。

このようにして睡眠不足は私たちの脳のコントロール機能を低下させ、ポジティブ・ネガティブのジェットコースターへと導いてしまうのです。

上記のほかにも、集中力の低下や複雑な思考の回避など、睡眠不足は脳のパフォーマンスを低下させます。

睡眠不足とアルツハイマー病の関係

睡眠不足とアルツハイマー病の関連は研究が進んでいる分野であるようです。本書でも多くの知見が記されていました。
結論を申し上げると、睡眠不足とアルツハイマー病は互いに作用する悪循環を形成する関係にあります。

睡眠障害はアルツハイマー病の主たる症状の一つです。アルツハイマー病患者さんの 60% 以上は何らかの睡眠障害を抱えているというデータもあります。

このように記述すると、アルツハイマー病を発症→睡眠障害をきたす、という流れを想像されるかもしれません。
しかし本書によると、実はアルツハイマー病を発症する数年前から睡眠の質の低下が生じているようです。

アルツハイマー病は、脳内にアミロイド β というたんぱく質が蓄積することで生じるとされています。
問題となるのが、そのアミロイド β が蓄積される場所です。本書によると、アミロイド β が蓄積する場所は記憶をつかさどる海馬ではなく、前頭葉の中央部分なのだそうです。

この箇所には、深いノンレム睡眠を発生させる機能があります。そこにアミロイド β が蓄積し、機能が低下→深い睡眠の質が低下するという説明でした。
深いノンレム睡眠には脳に蓄積したアミロイド β を洗い流す機能がありますので、ノンレム睡眠の質の低下はアミロイド β 排出を妨げてしまいます。するとアルツハイマー病の発症リスクが高まります。

つまり、睡眠障害はアルツハイマー病の症状だけではなく、アルツハイマー病のリスク要因でもあるということです。まだこれらの明確な因果関係(どちらが先に生じるか)は明らかではありませんが、睡眠不足が脳にとって悪影響を及ぼすことは間違いありません。

脳を守るためにもしっかり眠りましょう

脳を守るには、7 時間の睡眠時間を保とう

このように、脳と睡眠は密接にかかわっています。
私たちは日々のパフォーマンスを良好に保ち、感情をコントロールし、将来の疾病発症から脳を守るためにもしっかりと眠らないといけません。

そのための確保すべき睡眠時間が、7 時間 / 日です。
この時間には休憩時間の昼寝や、電車の中でのうたたねは含みません。ベッドに入りレム・ノンレム睡眠の時間を確保しましょう。

個人的には入浴以降のスマホや PC 時間をなくしてから、睡眠時間が確保できるようになり、寝つきもよくなりました。
寝る前のスマホ・PC で脳を興奮させることは避け、読書やストレッチをする、日記を書く、瞑想(ただ目をつむって数分過ごすだけでも OK)などルーティーンを決めて過ごすことがオススメです。

忙しい毎日だと思いますが、自身のライフスタイル見直してみませんか

まとめ

よく寝ることは、脳を守ることです。
一生使う脳ですから、しっかりと毎日のメンテナンス時間を確保しましょう。

本日は、書籍『睡眠こそ最強の解決策である』より、
・睡眠不足により、脳はストレス刺激・報酬刺激に対して敏感に反応するようになる
・睡眠不足とアルツハイマー病は、互いに作用する悪循環をつくる
・脳を守るために、7 時間の睡眠時間を確保しよう

上記 3 点について、私なりに要約・感想を記しました。

睡眠について学べば学ぶほど、これまで自分がいかに睡眠を軽視していたかを痛感します。
本書を含めた睡眠に関する書籍を読んだ結果、睡眠不足が非常によくないことだと認識できるようになり、今では 7 時間の睡眠時間を確保するように努めています。

睡眠時間について絶対的な答えはありませんが、私にとってはライフスタイルや日中の覚醒状態をふまえると 7 時間が最適のようです。

本書について、3 記事に分けて要約と感想を記しました。このほかにも睡眠不足と寿命、生殖機能の関係、夢を見る理由とその役割、そして私たち社会が睡眠とどう向き合うべきかなど、著者による非常に興味深い考察もされていました。
また機会があれば記事にまとめてみたいと思います。

本記事を読んでくださった方々も、ぜひ本書のような書籍をきっかけに、自身の睡眠について向き合ってみることをオススメします。

一人の人間として睡眠の重要性を学ぶだけでなく、私のような健康増進を促す職業の方にとっても、役に立つ情報が非常に多く得られますよ。

本書は私にとっての睡眠バイブルです。折に触れて読み返したい名著でした。

ぜひ手に取ってみてください。

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