脳コンディションのカギを握る物質?『一流の頭脳』(2)

一流の頭脳2 書籍感想

おはようございます。

先日の記事では、運動によって脳の各領域の繋がりが強固になることと、ストレスへの抵抗力が高まることをまとめました。未読の方はコチラからどうぞ。

本日も引き続き書籍『一流の頭脳』より、運動による脳への恩恵をまとめます。運動がなぜ脳によいのか…カギとなるのは、脳のコンディションを良好に保つたんぱく質でした。なじみのない分野かもしれませんが、運動が脳内で引き起こす現象を把握して、運動スタート / 継続のモチベーションにしましょう。

本日は、書籍『一流の頭脳』(著者:アンデシュ・ハンセンさん)の要約・感想記事(その 2 )です。

脳のコンディションを一流に保ちましょう!

『一流の頭脳』

記事の内容は、以下の通りです。

  • 一流の頭脳=健康な脳
  • 脳コンディションのカギを握る物質、BDNF
  • 結局、どれくらい運動すればよいの?

それぞれの内容についてみていきます。

一流の頭脳=健康な脳

脳を健康に保つことは、自分らしく自立して生活するために必須です。誰もが年をとるため、加齢に伴う認知機能や意欲の低下という、将来起こりうる問題にたいして、私達は目を背けてはいけません。健康で自立した人生にしたいのであれば、一人一人がその予防に取り組む必要があります。そして、もうお分かりだと思いますが、認知機能や意欲の低下予防として筆頭に挙がるのが、運動です。

運動によって脳の広範囲の血流が増加し、脳が活性化します。脳トレや計算問題でも脳は活性化しますが、それは言語や計算を司るほんの一部のみです。脳トレを否定する気は全くありませんが、認知症予防で行うのであれば運動が最優先でしょう。

本書では、この「運動が脳を健康に保つ」ということを実際に示した興味深い症例が紹介されていました。その人はオルガ・コテルコさんというカナダ人女性です。オルガさんは陸上競技選手として生涯で 30 を超える世界記録を保持し、マスターズ競技会の年齢部門( 90 歳から 95 歳)において 750 もの金メダルを獲得されました。オルガさんは 2014 年に他界されていますが、その実績から世界で最も偉大なアスリートの一人とされています。

オルガさんが注目を集めた理由は、その実績のみでなく、陸上競技を 77 歳から始めたということです。それまでオルガさんは、陸上競技とは無縁の人生を送ってきたようなので、陸上競技という新たなチャレンジが彼女の身体にどのような影響をもたらすか、という点は世界中の(特に脳科学)学者の注目を集めました。

そして本書では、オルガさんの体力はもちろんのこと、脳の状態も非常に若々しく保たれていたことが紹介されていました。オルガさんの脳は、同年代の人と比較して海馬が大きく、白質(脳の神経線維が存在する部位で、加齢や動脈硬化の影響を受けやすい)もきれいに保たれていたそうです。オルガさんの例から分かることは、運動が脳の状態を健康に保つ手段の 1 つ(それもかなり強力)であることと、その取り組みを始めるのに遅いということはないということです。

健全な精神は、健全な肉体に宿る。まさにこのことですね。

脳コンディションのカギを握る物質、BDNF

ここまでで、運動によって脳の各領域の連携が高まること、ストレス耐性が身につくこと、脳の萎縮を防ぎ健康な状態を保てることを紹介しました。本書ではこれら以外にも、運動によってやる気や記憶力、クリエイティビティ、学力をも高められると述べられており、もはや運動は脳に対する万能薬といえます。

この「脳の万能薬」の正体とはいったい何か?それは脳由来神経栄養因子(Brain-derived neurotrophic factor:BDNF) というたんぱく質でした。

<BDNF とは>
BDNF についてごく簡単に紹介すると、身体中の神経に作用し、さまざまなプラスの作用をもつたんぱく質です。本書では BDNF が脳の神経細胞に及ぼす影響として、

・すでにある脳細胞を保護し、老化を遅らせること
・新たに生まれた脳細胞の成長を促すこと
・細胞間のつながりを強化すること

などが解説されていました。そしてそれらの結果として、意欲の低下やうつを防ぐことにつながるようです。実際にうつと診断されている人は血中の BDNF 濃度が低下していることや、うつの重症度と BDNF 濃度には相関があること、治療によるうつ状態の改善が血中 BDNF 濃度の増加と関連することが知られています。

そして重要な点は、BDNF は運動によって増やすことができることです。一部の抗うつ薬を飲むことによっても BDNF は増加するようですが、運動ほど BDNF を効率よく増やす手段は他にありません。運動の種類は、筋トレよりも心拍数をほどよく高める有酸素運動が最も適しているとのことです。

運動して身体を動かして、脳を鍛えるのです

結局、どれくらい運動すればよいの?

本書で紹介されていたような運動の恩恵を受けるには、当然ですが運動しなければいけません。ご自身のペースでウォーキングするだけでも、ある程度の効果は期待できます。しかし、恩恵を最大化したいのであれば、心拍数をある程度上昇させるような強度および時間が必要です。また、運動の頻度(週に何日やるか)も重要となります。

この点について本書では、1日 30 分、週に 5 日、できれば毎日の有酸素運動が推奨されていました。一方、運動時の目標心拍数については具体的な言及がありませんでした。個人的には理論上の最大心拍数(220-年齢)の 70% あたりが、中程度の運動で目標とすべき心拍数だと思っています。この強度で 30 分×週 5-7 日を半年間続けられれば、間違いなく身体と脳は変わっていくでしょう。

運動は継続することが1 番難しいのですが、根気よく半年間がんばれば、運動が身体や脳に及ぼす目覚ましい効果を実感できるはずです。そのためには、本書や『脳を鍛えるには運動しかない!』のような書籍を手元に置き、モチベーションが低下していると感じたら定期的に読み返すといいかもしれません。

継続は力なり!ですね。一緒に取り組む人がいると継続率は高まります

まとめ

運動による脳への恩恵は計り知れないものがあります。他人との比較ではなく、自分へのチャレンジとして、運動を生活に取り入れてみませんか?

本日は、書籍『一流の頭脳』より、

  • 運動によって脳を健康に保つ防ぐことができる。始めるのに「遅い」はない。
  • BDNF について紹介。運動によって分泌されるたんぱく質で、脳を良好に保つためのカギ。
  • 運動の恩恵を受けたいなら 30 分 / 日の有酸素運動を。ウォーキングでもよいが、ジョギングやエアロバイクで心拍数を上げられれば最高。

上記 3 点について、私なりに要約・感想を記しました。

運動が身体や脳にどれだけよいかは、世界中の研究で明らかになっています。しかし、運動習慣があるのは全体の 3 割程度です。なんとか運動時間を作り出し、上位 30% に入りたいですね。

本書では運動によって得られる様々な恩恵について、わかりやすくまとめられています。文章も平易な言葉で理解しやすく、オススメの書籍です。アンデシュ・ハンセンさんの書籍が人気があるのも納得できました。

本記事を読み終えた方は、今すぐスマホの画面を消して走り出しましょう!

ぜひ手に取ってみてください

【関連書籍の紹介】

『脳を鍛えるには運動しかない!』

運動する際にはこちらの書籍も必読です。具体的な運動強度の記述もあり、大変参考になります。心拍数を上げましょう!

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