おはようございます。
興味深いタイトルと思って手に取った本です。
普段我々が何気なく見ている色にも様々な根拠があります。
手術室の壁の色のひとつにしても、科学に基づいた理由があるようです。
本書を読むことで、目に入る景「色」を新たな視点で見ることができるかもしれません。
本日は、書籍『手術をする外科医はなぜ白衣を着ないのか? 色の不思議を科学する』(著者:入倉隆さん)の要約・感想記事です。
本書を読み、思わず誰かに話したくなる色の話に触れてみましょう。
異なる視点で景「色」を見よう『手術をする外科医はなぜ白衣を着ないのか? 色の不思議を科学する』
記事の内容は、以下の通りです。
1.手術着・手術室の色のヒミツ
2.スポーツのパフォーマンスを上げる色
3.○○のブルーライトは、スマホ・PC の 100 倍以上?
それぞれの内容についてみていきます。
手術着・手術室の色のヒミツ
私が勤務している病院もそうですが、多くの場合、手術室の壁・床の色は青や緑です。
また、手術スタッフが着るユニフォームも同様に、青や緑が多いようです。
白衣を着て手術に臨む医師はほぼいないと思います。
これには理由があります。
青や緑は「寒色」とよばれ、静かで落ち着きを与える効果があります。
患者さんはもちろんですが、手術に臨むスタッフも落ち着いて仕事ができるように工夫されています。
また、青や緑は赤の補色と言われており、赤の補色残像(赤い色をじーっと見た後に他の物を見ると、赤の補色である青や緑が視界に残ること)を和らげる効果もあります。
医師は手術に伴う出血を長い時間見続けることになります。
その時、補色残像の影響で視界がぼやけてしまわないように、壁や衣服・患者さんにかける布の色が青や緑になっているということです。
さらに、青や緑は赤を吸収するので、もし服についたとしても黒く見えます。
もし血液で服や床が真っ赤に染まったら、とても落ち着いていられませんよね。
真っ赤に染まった手術着…不安を感じますよね。
スポーツのパフォーマンスを上げる色
色はスポーツにおけるパフォーマンスにも影響を与えるそうです。
個人的に興味深かったのは野球とサッカーにおける色の影響です。
元ヤクルトスワローズで活躍された古田敦也さん。
言わずも知れた、名キャッチャーです。
そんな古田さんが使用していたキャッチャーミット(グローブのこと)は青色だったようですが、この青はピッチャーの集中力を上げる効果があると紹介されています。
野球に関する別の研究では、キャッチャーが「黄色のプロテクター+青のキャッチャーミット」を装着した場合、ピッチャーの投球コントロールが上がったというデータもあるようです。
また、サッカーの話題では、イングランド・プレミアリーグにおける「ユニフォームの色と勝率」との関連が示されていました。
その研究によると、ユニフォームが赤いチームは、その他の色と比較すると勝率が高いとのことです。
プレミアリーグで赤いユニフォームといえば、マンチェスターユナイテッド FC、アーセナル FC、リバプール FC などが挙がりますが、これらのチームが高確率で上位の成績を収めることは偶然ではないようです。
赤いユニフォームは男性ホルモンの分泌を高める生物学的な効果があるようです。
また気分も興奮・高揚し、戦闘モードとなるため、赤い色は競技において精神的にもプラスに作用するようです。
勝利にこだわるチームの場合、ユニフォームを作る機会があれば赤がオススメ。
○○のブルーライトは、スマホ・PC の 100 倍以上?
スマホや PC からはブルーライトが発せられます。
これが目に悪いということはよく耳にしますが、それは誤解かもしれません。
というのも、このブルーライトは、実は太陽光にも含まれています。
しかも、その量は家電などの照明 LED の 100 倍以上です。
つまり、ブルーライトを浴びていることに関しては、太陽の光を浴びている時点でスマホ・PC のブルーライトを気にしてももはや仕方がないといえそうです。
スマホ・PC のブルーライトだけが人体に悪いという認識は改める必要がありそうです。
しかし、逆を言えば、太陽が出ていない時間帯に必要以上のブルーライトを浴びることは避けた方がよさそうです。
ブルーライトの刺激は脳の松果体に届き、メラトニンの分泌を抑制します。
このメラトニンは睡眠を促す効果があります。
そのため、夜間ブルーライトを浴びる→メラトニンの分泌抑制→睡眠に悪影響ということはいえそうです。
ただし、睡眠に悪影響を及ぼすほどのブルーライトをスマホ・PC から浴びるためには、かなり長時間、目の前でモニターを眺める必要があります(そんな使い方誰もしないと思いますが)。
スマホ・PC が睡眠に影響を及ぼすのは、脳を刺激し興奮させるからでしょう。
このあたりは、書籍『スマホ脳』で解説されています。
太陽光のブルーライトを避けるあまり、家の中にこもって不活動なライフスタイルとなってしまっては、健康を損ないます。
日中は外に出て体を動かしましょう。
まとめ
普段何気なく見ている「色」も、すこし違った視点から見てみると、「色々」と楽しめそうです。
本記事は、書籍『手術をする外科医はなぜ白衣を着ないのか?色の不思議を科学する』より、
・手術室や手術着の色のヒミツ
・色がスポーツパフォーマンスに与える影響
・太陽光にもブルーライトは含まれている
上記 3 点について、私なりに要約・感想を記しました。
本書はビジネス書や自己啓発本ではありません。完全に個人的な興味関心から手に取った本でした。
本書からは、自然の生き物と色の関係や食欲や味と色の関係など、上記以外にも楽しく学ぶ点が多く、興味深く読み進めることができました。
子どもがいる家庭なら、親子で一緒に色の不思議を楽しめるかもしれません。
あまり肩肘をはらず、「へぇー」とつぶやきながら楽しめる一冊だと思います。
知的好奇心を大いに満たしてくれる、楽しい本でした。
ぜひ手に取ってみてください。
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こちらは内容・文章ともに圧倒的に面白かった本です。
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