おはようございます。
前回の記事では、急性期病院の理学療法士(リハビリ職種)が生み出す収益について紹介しました。
未読の方はこちらからどうぞ。
本記事は part 2 として、リハビリスタッフが生み出す収益についてもう少しだけ紹介したいと思います。
いくら病院と言っても、経営が成り立たないと破綻してしまうこともあります。管理職でもない限り、リハビリ職種としてコストに意識を向ける機会は少ないかもしれませんが、知っておいて損はないでしょう。
もう少しだけ、理学療法士が生み出す収益について知りましょう
急性期病院の理学療法士が生み出す収益を紹介 part 2
記事の内容は、以下の通りです。
- 患者さんへの指導で算定「退院時リハビリテーション指導料」
- 急性疾患への早期リハビリ介入が評価された「初期加算・早期リハビリテーション加算」
それぞれの内容についてみていきます。
患者さんへの指導で算定「退院時リハビリテーション指導料」
急性期病院で病気の治療が終了し、患者さんが退院するときに算定可能な加算です。
この指導料は、リハビリテーションの観点から退院後の療養上必要と考えられる指導を、患者さん本人またはご家族や患者さんの看護を行う人に対して行ったときに算定できます。
診療報酬は 300 点で、退院日に限り 1 回のみ算定可能です。
例えば心疾患の患者さんでは、自宅での運動処方を行った場合に算定することができると思います。また、血圧測定の方法や、心不全増悪所見のチェックポイントの指導(むくみのチェック方法や目標体重など)は「療養上必要」と考えれらるため、算定しても問題ないと思います。
退院時リハビリテーション指導料を算定する場合は指導内容の記載が必要です。算定する場合は、指導の要点を診療記録に残すことを忘れないようにしましょう。
「退院時」なので、転院時には算定できません。死亡退院も同様です。
急性疾患への早期リハビリ介入が評価された「初期加算・早期リハビリテーション加算」
part 1 の記事で、リハビリ職種の収益の大部分は疾患別リハビリテーション料とお伝えしました。この疾患別リハビリテーション料には、疾患の発症後、早期にリハビリ介入を行うことにより 2 種類の診療報酬が加算されます。
・初期加算
1 つめの加算は、「初期加算」というものです。これは、急性疾患を発症した日、手術日、慢性疾患の急性増悪日、またはリハビリ治療開始日のいずれか早いものをスタート(起算日)とし、そこから 14 日間であれば、疾患別リハビリテーション料に 1 単位あたり 45 点が加算されるという制度です。
・早期リハビリテーション加算
2 つめの加算は「早期リハビリテーション加算」というものです。この加算は、起算日は上記の「初期加算」と同じです。期間は少し長く、30 日間となります。この期間中は疾患別リハビリテーション料に 1 単位あたり 30 点が加算されます。
この 2 つの加算はオーバーラップが可能です。つまり、起算日から 14 日間は 45+30=75 点 / 単位が加算されます。起算日から 14 日間で疾患の治療とリハビリ介入をがっちり行い、患者さんが自宅退院できれば、リハビリ収益面だけ考えた場合のコスパは最良になります。
加算がつく→必要性があると認められている証拠です。急性期の不安定な状態でも、病態の評価に基づきリハビリ介入を検討しましょう
まとめ
ちりも積もれば山となります。
概要でいいので制度を把握し、いち職員としてコストを意識した仕事をしましょう。
本日は『急性期病院の理学療法士が生み出す収益を紹介 part 2』として、
・患者さんへの退院後の生活に関する指導で、退院時リハビリテーション指導料が算定可能。退院日に算定可能で、1 回 300 点の加算。
・急性期リハビリに対して、30 日間を限度に 30-45 点の加算がつく。とくに最初の 14 日間の加算は 75 点と大きい。病態に応じた急性期リハビリ介入を。
上記 2 点について概説しました。
疾患別リハビリテーション料とリハビリテーション総合計画評価料、そして本記事で紹介した 2 種類の加算が、急性期リハビリにおける主な診療報酬です。急性期病院でリハビリを実施している施設では、これらの概要をつかんでおけば十分でしょう。
急性期病院のリハビリスタッフが関連する加算には、この他にも「早期離床・リハビリテーション加算」や「ADL 維持向上等体制加算」、「退院前訪問指導料」など様々あります。
当院でも前者 2 種類の加算は算定していた時期があり、私もスタッフの一員として従事していました。機会があれば、概要や当事者としての経験を記事にまとめようと思います。ただし算定にはいくつか条件があるため、すべての急性期病院に適応可能というわけではありません。
「退院前訪問指導料」は患者さん宅に訪問し退院後の生活に必要な指導を行った際に算定できる加算ですが、当院ではリハスタッフがこの加算を算定する件数は 1 年に 1 件あるかないか、という程度です。
この 2 記事にわたり、理学療法士(リハビリスタッフ)が生み出す収益についてまとめました。個人的には記事の作成を通して、気に留めることのなかったコストに意識を向けることができました。これらの情報が、少しでも理学療法士の仕事をイメージするうえで役に立つことがあれば幸いです。
繰り返しになりますが、いくら病院といえど収益がなければ経営はできません。リハビリスタッフが生み出す収益は病院全体からみればわずかですが、コストも意識して仕事をしていきましょう。
勤務する理学療法士であれば会社員と同じです。知識・技術も重要ですが、このような意識ももちましょう。
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